エピソード0:タケノコ狩りに行こう。16
「大丈夫か?」
鎌爪さんは俺に問う。
鉈でそこらの活きの悪い奴を突つくだけの作業。
無論なんて事はない。
「助けて頂き有り難うございました。」
鉈を下ろして頭を下げる。
あのままなら俺は青竹に頭ごとファーストキスを奪われていた。
「何が有り難うございます。だ。 素人が不用意に農業に首突っ込みやがって………。」
お怒り。しかし、怒り切れていない。
「向こうにも二人くらい同じ阿呆がいたが、バイトで農業が出来るか!
昔の農業は知らんが、今の農業は毎日が怪物相手の大立ち回りだって知ってるだろ!?素人に無理だって気付け!!」
俺を思って言っている。
ったく、あのクソ農家がいなけりゃ俺の農家への印象は今頃鰻登り………アイツがいなけりゃそもそもこうは成らなかったか。
「すいません。
タケノコ狩りと聞いてつい、食欲に勝てませんでした!!」
正直に謝ろう。
タケノコ喰いたかった!
「…………………………………………ク……………ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」
大爆笑。
まぁ、普通はそうなるのか?
普通を知らないが。
「タケノコ喰いたかった!!そうか!!フハハ!そーかそーか!!」
竹林に笑い声が響き渡る。
「よし!!ククク…なら、お前。喰おうか!!タケノコ。」
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