第25話 テロ3

俺がBの3列目へと向かうとそいつはいつもの舎弟たちとともに座っていた。俺がそいつらに近づいた途端、舎弟が俺のことに気づき焦り始めた。


「お!お前は!何しにきやがった!」


「用があるのはそこの真ん中に座って足を組んでいる奴だ。」


「あん?今度は何をしに来たんだ。俺は今、外で起こっている事の関係でこの場から動くことはできないぞ。」


竜之介は先ほど俺たちの前で土下座したことはなかったような素振りで、俺に対し反応を示した。


「お前に手伝ってもらいたくて少し話がある。委員長の許可もちゃんともらってある。」


「へぇ、でも手伝うかどうかは俺次第ってことだよな?」


「あぁ、でもきっとお前は手伝わざるを得ないだろうな。ここではなんだから少しこっちに来てもらう。」


「?」


そういって竜之介は立ち上がると俺と共に階段のほうへと向かっていた。ポケットに手を入れ、蟹股で肩で風を切るかのように歩く。まるで歩き方は一昔前のヤンキーのようだ。


「お前、今回のこと誰にも言わないから、俺が土下座したことも伏せといてくれよ。」


「わかった。だからと言って俺の前ででかい顔はするなよ?」


「ちゃんと約束は守るっつーの。」


「ここらへんでいいかな。」


俺は階段のあたりまで来ると、立ち止まり竜之介のほうを向き話した。


「今外部から襲撃を受けていることはわかるな?」


「あぁ、だから俺たちは今こんなところに待機させられているんだろ?」


「だから、今から外にいる奴らの掃討作戦を開始する。お前にも今回の作戦には参加してもらう。」


「はぁ!?「声がでかい。」悪かった。ちょっと待て、どういうことだよ。」


「前回の試合で俺の魔法をお前に見せたよな?俺が高騰魔法が使えるということを知っているのは俺の姉と妹を除いてお前と委員長意外には誰一人として居ない。流石に大人数相手にはこちらが不利だ。だからこそ少しでも戦力が欲しい状況だ。」


「お前の魔法でどうにかならねえのかよ。」


「それが今回の敵は厄介で魔法がほとんど効かないという敵が多い。しかし、お前の持っている魔弾とかなら話は別だ。着弾した瞬間アンデッドの類を出すなら物理的のため奴らにも「ダメージを与えることが出来る。」


「警察や機動隊はどうしたんだよ?」


「警察に対してこの学院内に爆弾を仕掛けたという爆破予告が届いていたらしい。仮に張ったりであったとしてももし突っ込めば生徒の命が保証されないしな。」


「まじかよ……。えー……でも命はらなきゃいけないんだろ?」


「当然だ。でもただでとは言わない。委員長に俺からお前を風紀委員に推薦することもできる。あまり自分で言うのなんだが、俺からの直談判ともなれば委員長は受け入れざるを得なくなる可能性も十分にある。」


「うーん……風紀委員の座か……確かにあれを使えばほとんどの生徒の上に立つことも可能となるか……。」


「時間はあまりない、この場で後3分以内に決めてくれ。」


そういうとすぐさま竜之介はこちらに顔を向けて


「やる。」


と答えた。


「わかった。ではこれを持っていてくれ。」


俺はイヤホンのような通信機を竜之介に渡した。すると後ろから姉さんと桃が出てきた。


「話は終わったみたいだね。」


「先ほどよりさらに危ない橋を渡ることになるだろう。竜之介はアンデッドを使用した陽動なども引き受けてもらう。」


「わーったよ。」


「姉さんと桃にも使い魔による援護もお願いすると思う。」


「うん!まかせて!」


「了解しました。」


「じゃあ……行こうか。」


俺たちは階段を降り、玄関のほうへと向かった。



***********************



軽く外の様子を見ると、3人にハンドサインで『こっちにこい』をした。アリーナに入り口が2か所存在する。俺たちは裏口の外には2人ほど見張りが付いていた。


「あっちの一人は3人で敵にバレる前に誰か仕留めてくれ。」


そう言うと、俺は全力でもう一人のほうへ走っていった。こちらに一人が気づいた瞬間には首の襟をつかみ壁に思いっきりたたきつけ、首元に剣を当てた。


「お前、誰の命令だ?それとも雇われた傭兵か?」


「お、俺は何も知らない!」


「声が出けえよ。『サンダーショック』。」


どうしても情報を聞き出したいところだがこの場で騒がれて仲間にばれては元も子もないので仕方なく俺は敵の首元に軽く電流を流し気絶させた。後ろを振り返るとどうやら3人もうまく倒すことが出来たらしい。近くには桃が呼んだと思われるリザードマンもいた。


「よし!これで一人は沈められたよ!」


「お前ひとりでこんなことするなんて本当に強かったんだな……。」


竜之介は驚いたように俺の顔を見た。


「あー、まぁ少しな。」

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