第17話 魔王系統の戦い
「甘いんだよ!」
竜之介はスモークの中、闇雲ではなくある一点の場所あたりに射撃をした。声が位置がばれないように俺はルーンで『ヘブンシールド』を書いた。
「ビルに当たったような音ではなかったな。チッ、防衛魔法で防いだか……。」
親指の爪を噛むようにし、竜之介は舌打ちをした。
「随分とルーンを書くスピードは速いようだが、所詮外交科。使える呪文もたかが知れてるようだな。」
俺はどうにかビルの中へ入るとオフィスのような構造になっていた。
「驚いたか?すごいだろ、内部構造まで完璧に再現するのは結構骨が折れるんだよ。まぁ、お前のような奴にはできないだろうけどな!」
俺がどうにか机のようなもので魔弾を防ごうとしたとき、奥の壁に魔弾が当たった。
「ミスか……?いや……違う!」
弾が壁に当たった瞬間、アンデッドが現れた。
「死霊魔法を魔弾に備えてあるのか……確かにこれは優勝候補に挙げられるだけの実力は備えてあるわけだな……。」
アンデッドは机に放たれた途端俺のほうへと襲ってきた。竜之介の位置から死角になる位置ではアンデッドが俺を探すように行動をする。アンデッド特攻である勇者系統の呪文を、もし俺がこの場で使えば魔王系統魔法の授業を取っているのに勇者系統魔法を使うという矛盾が起こり、両方の性質を使えるということがばれてしまう。
「どうしたものか……この状況……。」
不自然にも俺の頬は緩んでしまっていた。この学校にはまだ成長の見込みがある生徒があること。そして何よりも条件付きとはいえ、自分が危機的状況に立たされているということがあったためだろうか。魔弾が少しでもかすめれば俺の体は破裂をし、天使になったところで屋内ではたかが知れている。使える呪文は魔王系統呪文のみ。
「お前には伸びしろがある、来年こそは俺と同じブロックではなく決勝へと行けるといいな!」
「は?お前自分の置かれてる状況が分かっているのか?この中ではお得意の飛行すらできないんだぜ?」
「それはどうかな!」
俺は勢いよくデスクの下から飛び出し、机などを盾にしながら魔弾を防ぎ、デスクの上などを渡りアンデッドの攻撃をかわした。魔弾とは本来、魔力の回復などを目的として作られた。そのため弾のスピード自体は速いが物体に当たった瞬間アンデッドが生まれたりするので椅子などを貫通する効果は持ち合わせていないのだ。
「馬鹿め!自分から出てきやがって!」
竜之介は俺にどんどん魔弾を打ち込んできた。それと同時にどんどんアンデッドか生まれた。
「避けてばっかりでは一生俺に勝てないけどな!」
「よし、準備できた!くらえ!」
「は?」
正直竜之介は俺が何の魔法を書いたのか最初はわからなかったであろう、しかしビルが揺れるとともに謎の地鳴りが聞こえてきた瞬間見る見るうちに顔が青ざめていった。
「会場にいた者達からはビルの中で何が起こっているのか全く分からないだろう。だから……この状況を利用する!」
「お……お前……もしかして……魔王系統炎攻撃最大の……!」
「あぁ……魔法の名は……」
「煉獄」
「魔王系統炎魔法の高難易度呪文……!」
その声と同時にビルは爆発と炎が入り混じったような状態になり崩壊をし、竜之介は気絶をした。当然、殺さないようにはしてあったがビルの崩壊と同時にショックで気絶をしてしまったのであろう。俺が竜之介を抱えて地上に降りると審判は勝敗はを告げた。
煉獄とは、大量の命と引き換えにとてつもない威力の炎を引き起こす魔王系統の呪文だ。わざわざ竜之介の魔弾をひきつけ、椅子や壁にぶつける事によってアンデッドを増やし、アンデッドの命と引き換えに放った。当然魔法の構造自体がかなり難しいし自分に矛先が向く可能性もあるので簡単に撃つことはできない。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!あいつ優勝候補に勝ちやがった!」
稜が大きな声をあげると同時に周りも大いに盛り上がった。
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