第17話 裁判の行方。
わたしの家族は、裁判とは、まるで縁がなかった。幸いにも。
ただ、
小難しい専門用語が多くて、わかりづらくって、堅苦しくて、疲れるって話。
そして、長すぎるって。何時間も、何日も付き合わされるのが大変だってさ。
裁判によっては、判決が出るまで、何年もかかる場合だってあるもんね。
むしろ、それが、あたりまえ。
それに対して、帝竜国の裁判は、
呆気ないほどに。実際は、呆気に取られる間すらなかったんだけど。
<裁判が終わった? えぇっ、もう? 嘘でしょ?>
わたしが、ソラから、事の
誓ダルカスが乗り込んできたのが、早朝。その当日の夜ってことだよ。丸一日すら
<現行犯で捕まったからねぇ。さすがに、言い逃れしようがなかったの。誓神殿が出してきた
<トカゲの
<うん。そんな感じ。ここは、外帝軍の施設だから、
<それ、比喩的な表現だよね? 『ファイアー』とか叫んで、本当に、火を放ったりすることもできるわけ?>
<竜の中には、火を吐くものもいるけど、竜眼族は、そんな竜気の使い方はできないわね。でも、人は指が長いから、簡単に火を
8分! すごい。
<パメリーナは、大丈夫だったの? 怪我とかしてない?>
わたしは、まだ、パメリーナに会っていないのだ。無事だということは、聞いていたけど、自分の眼で確認してないから心配なのよ。
<うん。麻痺していたのは身体だけで、意識はずっとあったみたいなの。軽い打ち身はあったけど、手当も早かったし、元気になったって>
<そう。なら、いいけど……、ねぇ、ソラ。パメリーナは、戻って来る? それとも、侍女を解任されちゃったの?>
<解任はされてないの。今晩は、ゆっくりお休みしてるはずなの。明日あたりには、戻って来ると思うから、安心して>
目覚めたときには、別の部屋にいて、別の侍女がついていた。ご丁寧に、おばあちゃま風、中年の女教師風、若くてメイド風と三人も。
部屋は広くて豪華だし、扉の外には、兵士が立っているし、いきなり待遇が変わっている。一応、王族なんだから、この方が普通なのかもしれないけど、落ち着かないのよね。
そもそも、パメリーナとの一対一のおつき合いだって、大変だったんだよ。それが三倍に増えて、しかも、必ず誰かが側にいるの。
夕食のときなんか、コックさんらしき男の人までやってきて、八つの竜眼に、じーっと見つめられていたんだからね。ただでさえ、食が進まない極甘メニューだっていうのに、余計に食欲を失くしたじゃないの。そりゃ、がんばって食べたけどさ。
とにかく、ひとりになれる時間が全然ないって、すごくきつい。
食事をすませて、お風呂に入れられて、着替えさせられて、ついでに、お祈りまでさせられた。その間、ソラとは、ほとんど話ができなかった。
【翻訳】の方に気を取られていると、周りからは、ぼんやりして見えるらしくて、注釈なしで、同時通訳だけしてもらっていたのよ。
まぁ、三人も監視がついているんじゃ、どこでボロがでるかわからないしね。ほんと、ストレスが
やっと、寝台に入っても(今度のは、
<このお姐さん、なんで、こんなに緊張してるの? 誘拐犯は捕まって、裁判まで終わったんでしょ。わたし、他の誰かに、狙われてるなんてことないよね?>
政敵がいるってことだし、考え過ぎって笑い飛ばせる話ではないと思う。それなのに、ソラは、晴れ晴れと楽し気で、わたしは、ちょっとイラッと来た。
<うん。もう、マリカを直接狙う命知らずはいないはずなの>
<命知らずって、何よ、それ。人聞きの悪い。わたし、誰も殺してないじゃない>
<ごめんね。敵に回したら危険だって意味なんだけど。【翻訳】が、うまく効いていないのかな>
<効いてないかも。わたしのどこが『危険』なのよ?>
<えっとね。マリカ、今朝、竜気を放出したでしょ。あれね、ただの【攻撃波】じゃなかったの。増幅型の【
<幼児に、刃物を持たせちゃって、どうしようって感じ?>
<そうそう、そんな感じ。上の方では、刃物を取り上げることはできないから、急いで、使いこなせるように訓練をしなくちゃって話になってるしね>
訓練……何か、不吉な予感がするぞ。わたしは、恐る恐る尋ねた。
<あのさ。その訓練って、どんなことするわけ?>
<大丈夫。マリカなら楽勝なの。せいぜいちっちゃな魔物を狩るくらいだからね>
おい、相棒。その軽さは何なんだ。それのどこが楽勝だって言うんだよ。
ちっちゃかろうと魔物は、魔物なんじゃないのか。あの、うようよヌメヌメ
もうもうもう! あんな気持ちの悪いもの、わたしは、二度と見たくないっていうのに!
残念ながら、この先も、わたしの異世界ライフは、『ほのぼの』とも『スロー』とも無縁のまま、よろめき進んで行くことになりそうです。
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