第75話 入森

人気の無い建物



本当に奴隷達が1人も見あたらず、逆に不自然かつ不気味さを感じる構内



気配は無いが何処かに1人2人いてもおかしくはない…



むしろそう考えるのが妥当だろう



御見内が辺りをキョロキョロ見渡し、警戒しながら先頭で進んで行った。



角で一旦止まり、陰から様子を伺い、安全を確認してからの移動



建物を慎重に外周し、裏手に回り込んで行く2人



森の中 低い枝から枝に伝うシジュウカラが鳴きながらどこかへと飛んで行き



2階の窓の手摺にはタカ科の猛禽類ノスリがとまっている。



2人は裏手へと周り込み、目の前に生い茂る木々を目にした。



この先はトラップの森



ここをまた通らなければならない



御見内「よし 行こう」



そして御見内が森の中に足を踏み入れようとした矢先



メサイア「ちょ ちょっと待て」



小声で口にするメサイアに呼び止められた。



メサイア「待て 中に入る前に屋上に明神さんがにいるかいないかを確かめないと」



人差し指を上へと向ける。



メサイア「このまま突っ込んでも明神さんがいたらスナイパーの餌食になるだけだ 不用意には行けない まずは存在の有無だけでも確認させろ」



陰から屋上を見上げる御見内



御見内「ホントに全員駆り出されたのかもしれない… 町民は1人も見当たらないし 見たとこその明神ってやつもいなそうだが… それに確かめるったってここからどうやって確かめる?」



メサイア「見てみろ あそこの手摺に小型の鷹みたいなやつが停まってるだろ あいつはノスリって言うんだが見えるか?」



御見内「あぁ あれがどうした」



メサイア「明神さんは動く標的を撃たずにはいられない衝動っつ~か習性って言うのか…そんな所があるんだ それは人やゾンビだけとは限らないんだ よく飛んでる鳥をターゲットに撃ち落としてて 弾を無駄に使うなって注意を受けた事があってな それ以降鳥には実弾を抜いて空砲で撃つ癖があるんだ…」



御見内「なぁ その話し長くなりそうか?簡単に言うとつまり?」



メサイア「つまりあのノスリが上空に飛び立てば空砲音が鳴らされるって訳だ…空砲の音は思ったよりもでかい!それは耳を澄ませば必ず聞こえて来る筈だ つまりそれが鳴ればあの人は屋上に居るって事になる」



御見内がその辺に転がる石ころを拾い上げた。



御見内「急がないと後ろにいたトラック野郎共が戻ってくる ようはあのタカをはばたかせればいいんだな? すぐにやってみよう」



石を投げつけようと振りかぶった御見内の手が掴まれ、防がれた。



メサイア「馬鹿馬鹿 そんなの投げたら壁に当たってデカい音が鳴るだろ」



御見内「じゃあどうすんだ あいつがひとりでに飛び立つまで待てとか言うなよ」



メサイア「おまえ弓の使い手なんだろ あの窓の一部がベニヤで補強されてる あの小さなマトに矢を突けば音を出さずにやつを驚かせられる」



御見内「それしきの事で貴重な矢を使えるかよ」



メサイア「いいから早くやれ 時間が無いぞ」



おまえが言うな…



そう言いたげにメサイアを凝視しながら和弓を手にし、背中の筒から1本の矢を取り出した。



そして矢を装填 2階に位置する小さなベニヤ板の的目掛け、御見内が狙いを定めた



そして



シュ



矢が放たれ、突き刺された。



すると それに驚いたノスリが羽ばたき上空へと飛び立った。



建物よりも高く浮上したノスリ



2人は耳を澄ました。



空砲音はない…



ノスリは優雅に上空を旋回しながら遠くへとそのまま消えていった。



御見内「やっぱり奴はいない…これで納得しただろ?」



メサイア「あぁ 確かにいないみたいだ 常にあそこで生活してて常駐してる人なんだ…滅多な事では屋上から出ない人なんだけどな…」



御見内「いいから行くぞ ついて来い」



2人は森の中へと入って行った。



御見内を先頭に後に続くメサイア



熊除けの鈴を飛び越え、かい潜る2人は奥へ奥へと進み



ギシッ ギシッ



振り子するあの鉄球トラップの前で足を止めた。



メサイア「なんだこのトラップ…」



御見内「って思うだろ だがな 実はもうこれのネタはバレてるよ」



そう言うと御見内が歩み、ある装置のスイッチを消した。



するとたちまち振り子が止み、停止する鉄球群



御見内「一度ここを通って来てる事を忘れんなよ どこにどんなトラップがあるか もうタネも仕掛けも分かってんだよ 行くぞ」



メサイア「あ あぁ」



そして御見内が1歩を踏み出そうとした時



その足を止めた。



御見内「待て」



なんだ…?



何かを感じた御見内がメサイアを制止、しゃがみ込んだ



何かいる…



すると ペキッ ペキ



枯れ枝を踏みしめる音が聞こえ



何かがこっちに向かって来る…



ペキ パキン



「ううぅぅうぅぅ」



掠れるこの声



ノソノソと引きずる歩行



悪臭を漂わせ



今まで死ぬほど聞かされてきたこの呻き声



森の至る所からゾンビ様の一団が御見内等の前に立ちはだかった。



御見内「はぁ~ やれやれ またか… ホントすんなり行かせてくれないな… こいつらなくして話しは語れない…って事かな」



一方



廃病院の駐車場に続々進入してきた車両群



ボロボロになるSUVの周りに適当かつ荒々しくトラックやらバンやらが停車され



バタン バタン



バン、ステーションワゴン、ミニバンから銃器を手にした黒フード達、トラックの荷台から数十名の凶器を握る奴隷達が降りたった。



ガシャ カシャン



サブマシンガンを光らせた黒フード ジャメヴが放置されたSUVを目にしながら呟いた。



ジャメヴ「逃がさね~ぞ」



スピットファイヤ「ホムンクルス おまえは建物の中を探せ」



ホムンクルス「了解 おい建物を探す ついて来い」



1人の黒フードが5~6人の奴隷を引き連れ病院内へと入って行った。



スピットファイヤ「キャラバン ゼビウス デヴリボーイ ジャメヴ あとの奴隷達全てはこの森だ まだそう遠くまでは行ってないだろう 手分けして追うぞ…」



ガシャ カシャ



一斉に銃器に弾倉が嵌められた。



デヴリボーイ「そっからそこまでのカス共は俺達と来い」



それから奴隷共が適当なグループに仕分けられる



スピットファイヤ「逃がすな…」



黒フード様御一行も到着…



一方



第4ラボ



「敵味方識別装置破損 制御装置異常 音声装置異常 通信装置破損 カメラ破損 駄目です 先程の衝撃であらゆる装置が損傷を受け コンタクト不能です」



教授「005の状態は?」



「生体反応はあります 005は現在活動中ですが暴走の疑いありです」



教授「ならすぐに停止させろ」



「駄目です 制御装置も通信機能も何もかもが破壊されてます こちらからの操作は出来ません…」



教授「何だと…どうなる…?」



「恐らく自分勝手に動きだし…」



「あらゆる者をターゲットに攻撃するかと思われます…」



教授「暴走か…」



パキッ パキ



装置損傷により殺戮マシーンと変わったバスタード



御見内達vs黒フード達vsゾンビ達vsバスタードJM005



今度はこのトラップの森が戦場と化す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る