虫干し

【夢を見ました】


晴れて明るい街角に埃が舞う。空気が乾燥している。

通りに面した窓には、まるで布団を干しているかのように大量の着物が無造作に掛けられている。

天気の良い日に風を通しておくとよいのかもしれないけど。


背後から人影が通り過ぎていった。薄羽かげろうのように透明に見えたのは気のせいか。羽織姿の小柄な女性だ。


そうそう、着るだけでも状態がよくなるよね。たんすにしまったままにしておくのが一番いけない。

表通りは埃だらけなのに着物姿の人が多い。


今日は晴れて明るく、埃も光の粒になって舞う。

みんな着物で、もっと明るい大通りの向こうへ歩いていった。


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