運河
【夢を見ました】
幼い娘を抱いて旅をしている。
何かの団体にまぎれたり、団体バスに乗り込んだりして、いくつも山を越えている。
行く手に大きなプールが現れた。水中には暗く淀んだような塵のようなものが底に見える。その塵は魚の群れのように時々形や位置を変えながらうごめいている。
プールは行く先々に立ちはだかるように何度も現れる。
どうしても水に入らなければ先に進めない。嫌がる娘を抱いて水の中へ入って行った。
プールの中は紫色に包まれ、暗く冷たい。
いくつものプールを通り抜け、坂道を上がっていると、いきなり昼間の太陽が照りつけてきた。
娘が喜んで、緑がまぶしい丘の上を走って行く。私も一緒に走る。
その向こうに絵本の中で見たことのある、修道院のような建物が見える。
あたりには誰もいないような気がして、ふと寂しくなる。
丘の上はますます太陽がまぶしく、光で何も見えなくなった。
大勢の人の中で食事をする事になったようだ。
とてもお腹が空いている。
しかし私が座っている場所は食べ物が置いてある場所からはものすごく遠い。それで別の場所に移った。
移った先のテーブルにはこんにゃく、ちくわ、麩、油揚げ、豆腐があった。
納豆を手に取ると、家の冷蔵庫にある納豆と同じだった。
私はご飯をよそってきて、その納豆で食事を始める事にした。
船は運河を進む。
食堂ではがやがやと大勢の人がしゃべっていて、明るい日差しが降り注ぐ。
どの人も前から知っている人のようで、初めて会った人のようで、よくわからない。
「ほら、あそこの店よ」と誰かが指差す方を見ると、水際に2階建ての喫茶店が見える。
私はその店を知っている。小さい店だが窓が大きくて明るく、落ち着ける店だった。
もう閉店したと聞いたけど、まだやってたんだ。
船は運河を進む。
もう今となっては川なのか、運河か、地中海か、瀬戸内海か、わからないけどなんでもいい。
知っているような知らない人と、私はずっとおしゃべりをしている。
何もかも、これでいいのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます