第71話 対策本部にて
◆◆◆ <ケント視点>
「エリーゼさん、すみません。」
ケントはエリーゼに肩を貸してもらい、なんとか神殿の地下から地上へと出ることができた。神殿は奴が飛び出していったときに一部破壊されているようだ。
そのまま町の外へと向かう。
「大丈夫ですか? もう少し上
「はい、ありがとうございます。」
手持ちの薬品を服用しなんとか歩けるようにはなっていた。だがディアボロスの攻撃により奪われた体力が戻りきらない。
そして外へ出た瞬間に目の前に広がる光景に驚愕する。
「なんだ、これは……。」
街へ出て目にしたのは漆黒の悪鬼に襲われるたくさんの悲鳴をあげる人々。そして嬉々とした雄叫びをあげる悪鬼ども。
その光景を見てエリーゼが眉を顰めながら話す。
「どうやら都民は城のほうへと非難しているようです。城には結界が張ってありますから。ケントさんもしばらくはそこへ行きましょう。私は城の結界をさらに強化します。」
「分かりました。今はそうするしかないですね……。」
今こうしている間にもセシルたちが危険な目にあっているかもしれない。そう思うと悔しかった。
そして罪もない人々が目の前で傷ついている。だが今の状態では何の助けにもならない。少しでも回復するよう努めるのが先決だ。
それからケントはエリーゼとともに城へと向かった。
◆◆◆ <ハイノ視点>
ハイノは目的の男に会うため城の中にある軍本部の司令部へ来ていた。
「バルト!」
「マスター・ハイノ、お久しぶりです。お帰りになられてたんですね。」
ハイノを見て目の前の男、バルト将軍が敬礼をする。
彼は部下からの信頼も厚く実力も申し分ない、将軍という階級に相応しい男である。若干愚直であるところは否めないが、そうであるがゆえにこの国においては自分にとって数少ない信頼のおける人物だ。
「緊急事態だ。今兵はどのくらい動かせる?」
「はい、王都においては2000というところですが、今早馬を走らせて砦の兵を召集しているので今日中に5000は集まります。」
「そうか、では街中の悪鬼のことはもう知っているんだな?」
「はい、既に把握しております。この城には邪悪なものを退ける結界を張っております。そこで臨時的に街の人々をこの城に避難させようかと思っております。」
バルトが対策について話す。城か、悪くないが……。
「陛下はご存じなのか? 許可は取れたのか?」
「はっ。王族にはより安全な場所へ避難してもらっております。ですから街の人間と接触することはありませんし、城を避難場所とする許可も多少強引ではありますがいただきました。もし許可が降りなくても我が軍の総力を挙げて強行致しますが。」
そう言ってバルトがニヤリと笑う。彼は頼りになる。この国の民を何よりも大切にしているからな。
「分かった。兵には王都民の避難を最優先した上で悪鬼どもを駆逐するように伝えてくれ。奴らは際限なく湧いているようだ。本体を叩かんことにはこの悪夢は終わらんだろう。」
「本体というのは上空で高みの見物を決めているあの悪魔のことでしょうか?」
「ああ、奴はディアボロスと言って神殿の地下に封印されていた悪魔の封印が解け、それがエメリヒに憑依したものだ。とにかく桁外れに強い。私とワタルでも歯が立たん。」
「そんなに……。」
バルトの表情が曇る。無理もない。今のところ奴に対抗する手段が何ら見つかっていないのだから。できるのは都民を避難させることだけだ。
「とにかく今できることをやるしかない。使える者は全て使うのだ。ただ自分の命を粗末にしないようにと伝えてくれ。私も悪鬼を倒しつつ都民に避難を促す。」
「はっ、すぐに指示します!」
人々は抵抗する手段を持たない。このままでは悪鬼どもに虫けらのように殺されてしまう。一人でも多くの人を救わなければ。
ハイノは意を決して再び城の外へと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます