第49話 勇者の手料理
「ほうとうって何ですか?」
「俺の地元の郷土料理で、ぶっというどんて言うと伝わるかな。
魔界にホームステイできると聞いて持ってきたんだ。」
今日のランチは勇者が家庭の味を振舞ってくれるらしい。
「すみません、大事な仕事場をお借りしてしまって。」
勇者が唄子に頭を下げる。
「謝らないでおくれ!あたしも楽しみにしていたんだ、間近で作り方を覚えさせてもらうよ。」
「はい、俺のはたいしたもんじゃないですが、家庭の味ってことで。大き目に切ったかぼちゃが入るのが特徴かな。」
勇者が手際よく野菜と豚肉をカットしてゆく。
「学生寮で暮らしているので一応、自炊してるけど母ちゃんみたいには切れないんすよ。」
「いや、上出来だよ。自炊は続けるのが一番大変なんだ。」
「豚肉、かぼちゃ、白菜、大根、にんじん、ねぎ、しめじ、油揚げをカットしたら、鍋にたっぷりの出汁と野菜と肉を入れて、ひと煮立ちしたらほうとうを加えて、みそを加えて・・・出来上がりっす!」
「野菜と肉から出汁が出て美味しいです!」
「寒い日に剣道部の練習でクタクタになって帰った時の夕食がほうとうだと嬉しくて、贅沢なもんじゃないけど俺にとって料理っていうとほうとうなんす。・・・・・つか、唄子さんのおかず、美味いっすね!」
唄子がぱぱっと作った揚げ出汁豆腐と豚肉の野菜巻きが激ウマだ。
こんな手の込んだ美味いものを、あんなに手早く作れるなんですごいっす!
美味い!美味い!と唄子のお惣菜をお代わりした勇者は、唄子に料理を教わる約束の握手を交わした。
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