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このお屋敷に入ってから、他の人の気配を感じなかった理由がようやく分かる。
これだけ大きなお屋敷にもかかわらず、ここにはミーナさんしかいないらしい。
「
タルサは説明しながら、我慢しきれずに笑みを
タルサが何を言いたいのか、分かって来たぞ。
「つまり、タルサは――悠久の魔女が生きているように見せかけようってんだな?」
「で、でも、そんなことが出来るハズがありませんっ!」
声を荒げたのはミーナさんだ。
「この国の全ては悠久の魔女様が、ただお一人で管理されておりました! 国民がこの国の存続を望んでいることも、近隣諸国がこの国を容認しているのも、悠久の魔女様が活躍し、様々な問題を
ミーナさんの言う事はもっともだ。
「ですから、悠久の魔女様の
「ここに、おるじゃろ?」
普通なら、未来視を使える人間の代わりなどいないだろう。
でも、俺はそれが出来そうな人物を、たった一人だけ知っている。
「妾は転生者であり、妾の生きていた世界はこの世界よりも
タルサが足を組み、自信満々に口にする。
「そもそも、悠久の魔女殿は、自らの腕を
「そ、そんなことはありません! 悠久の魔女様は完璧で――」
「そこが問題なのじゃ」
立ち上がって反論するミーナをぴしりと指差し、タルサは続ける。
「悠久の魔女殿の政策はまるで穴だらけじゃ。誰よりも
「……どういう、意味ですか?」
「悠久の魔女殿は誰よりも優れておるからこそ、誰も信用できず、君主として
押し黙るミーナさんは、それに覚えがあるのだろう。
「組織として作り上げたのも、国境に設けた最低限の兵士達のみで、自ら以外が他国との戦争に加わることすらさせぬ徹底ぶりじゃ。その行為によって国民を増やし、魔力を集めるというシステムは素晴らしいが、それは悠久の魔女殿がいて初めて成立する」
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