イクヨちゃん。
この運転初心者にして、半端ない方向音痴(で思い込みの激しい)な私にとって、最も必要なのが、カーナビだった。
なのに、ラチ男にナビがついてないことは、どう考えても最大の問題だった。
毎回、出かける前に地図をプリントアウトして、パソコンやスマホで道順を調べて、地図に書き込む。曲がるところの目印もチェック。
でも、なにがどうって、キョロキョロできないのに、どうやって目印を認識したりすればいいのか!?
結局、目印を見つけられず、見つけられてもいつもギリギリのタイミングで余裕がなくて、通り過ぎてしまう……の繰り返し。
『車は(やろうと思えば)急に止まれるが、私は急に止まれない』
何度、そう思ったことか。。。
どうしよう!? って考えてるうちに、ラチ男はどんどんあらぬ方向へ走り続け、ここはどこ〜!? 私は誰〜!? のいつもの錯乱が始まる。
脇に止まって確認すればいいのだけど、どこで止まっていいかもわからない。
どんどん知らない景色の中へ深入りしていく状況に、車内で一人涙する。
なんでなのよぉ、ラチ男。。。
いや、冗談じゃなくて、本当に涙が出てくるのだ。
夫のM夫くんに「今日もどこかわからない遠くまで行かされて(←自分のせいだが)、泣いちゃった」と言って、夜、ヨシヨシしてもらう。そうでなければ、私が運転がイヤになってしまいかねないので、M夫くんもやさしく慰めてくれる。
そして、ある日。
見かねたM夫くんがカーナビを買ってきた!
私は喜び勇んで「イクヨちゃん」と名付け、さっそくカーナビを使う練習をする。
が、しかし、問題は前方の路上から目を離してカーナビの画面を見られない、見たとしても、ナビ上の情報を確認できるくらいの秒数を続けて見ていられない。
いや、もちろんイクヨちゃんはしゃべってくれるのだけど、距離とか言われても、距離感がないのでわからないのは、前にも書いたとおり。
「300m先」と言われても、「300mって、何メートル〜!?」とパニックになり、「300mは、300mだよ…」とM夫くんに呆れられる。
イクヨちゃんは、300mと700mをよく言うので、300mとは何メートルなのかを体感で覚えようと、慣れた行き先でもナビをオンして体に叩き込むことにした。
いわゆる、「ナビの練習」!?
そこからだった。。。
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