「慣れ」ってナニ!?
いま思えば、最初のころは「なんでこんなことができなかったんだろう」ってことだらけだった。
前回書いた、「目の前の路上しか見られない」のも、教習時からずっと気になっていた「まっすぐ安定して走れない」「ちょっとふらつく」って感じがあったからだ。
というわけで、走る間中まっすぐ走ることに気を取られていっぱいいっぱいなので、ほかの動作を入れるのが大変だった。
ワイパーを作動させたはいいけど、ワイパーの速度を調整する余裕がない。
一度エアコンを入れたらそのままだ。そのパネルを見るのに目線をずらすことができないので、車内温度どうこうなんて言ってられない!
運転しながら会話ができない。何か言われると気が散って、運転に集中できない!
これまで、いろんな人に車に乗せてもらってきた人生だったけど、「運転に集中できないから話しかけないで」と言った人は一人もいなかった。
知らなかったけど、話しながら運転するのがこんなに難しいとは、皆さん、すご過ぎます!! と、過去、乗せてくれた方々を思い浮かべて心から尊敬した。
信号にさしかかると毎回「お願い、赤になって」と祈った。黄色にもなってないのにだいぶ手前で減速して、赤になったら喜んで止まる。そして、ホーッと深呼吸するのだ。だって、走ってる間、まったく息してないもんね。
右折はもちろん別格でイヤだったけど、イヤさにかけては「左折<カーブの道」だった。ハンドルをちょうどよくカーブに合わせ続けるのに、ものすごい神経を使って疲れる。
そして、モチのロンの車庫入れ!!
初めての場所で、人はどうしていとも簡単にバックで駐車できるのか!?
初見の狭いところの駐車がバックでできなくて入れてもらったこと、逆に、それができなくて自分で前から入れて、結局バックで出られなくなって出してもらったこともあった、もちろん見ず知らずの通りがかりの紳士にお願いして、だ。
他の方々の美技を見るたびに、「すごいですね! どうしてできるんですか!?」と尊敬のまなざしで問うと、みんな揃いも揃って「な、慣れかな?」と戸惑いながら言う。
その「慣れ」というヤツは、いつまでたっても私のところには来なかった。
慣れ? 慣れ?? ナニ、その「慣れ」って〜〜っ!?
しまいには、その言葉が聞きたくなくなっていた。
ラチ男に同乗しながら、夫のM夫くんは「つまり、まだ、運転動作一連の流れが体にしみ込んでないのと、目や耳から入る情報と運転動作とがオートマチックに(=考えなくてもできる)つながってないんだな」「だから、ただ走るだけのことにも、いちいち意識しないとならなくて、ほかのことができないんだよ」とよく言っていた。
「あ、その前に、とりあえずミラーは出した方がいいと思うよ」もよく言っていた。つまり私は、駐車で閉じたサイドミラーを発進前に開くことにすら神経が行ってないことがよくあった(笑)。笑い事じゃない。
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