各省官制通則（明治２６年勅令第１２２号）

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朕各省官制通則ノ改正ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム

勅令第百二十二號

　　各省官制通則

第一条　本則ハ外務、内務、大蔵、兵部、司法、文部、農務、通商産業、逓信、厚生、運輸、労働及建設ノ各省ニ適用ス

第二條　各省大臣ハ主任ノ事務ニ付其ノ責ニ任ス

　主任ノ明瞭ナラサル事務ニシテ両省以上ニ関渉スルモノアルトキハ閣議ニ提出シテ其ノ主任ヲ定ム

第三條　各省大臣ハ主任ノ事務ニ付法律勅令ノ制定、廃止及改正ヲ要スルコトアルトキハ案ヲ具ヘ閣議ニ提出スヘシ

第四條　各省大臣ハ主任ノ事務ニ付其ノ職権若クハ特別ノ委任ニ依リ省令ヲ発スルコトヲ得

第五條　各省大臣ハ主任ノ事務ニ付東京都長官、警視総監、道府県知事ニ指令又ハ訓令ヲ下スコトヲ得

第六條　各省大臣ハ主任ノ事務ニ付東京都長官、警視総監、道府県知事ノ命令又ハ処分ノ成規ニ違ヒ公益ヲ害シ又ハ権限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ命令又ハ処分ヲ停止シ又ハ取消スコトヲ得

第七條　各省大臣ハ所部ノ官吏ヲ統督シ奏任官ノ進退ハ内閣総理大臣ヲ経テ之ヲ上奏シ判任官以下ハ之ヲ専行ス

　地方官庁奏任官ノ進退ハ内閣総理大臣ヲ経テ内務大臣之ヲ上奏ス

第八條　各省大臣ハ内閣総理大臣ヲ経テ所部ノ官吏ノ叙位叙勲ヲ上奏ス

　地方官庁官吏ノ叙位叙勲ハ前条第二項ノ例ニ依ル

第九條　各省大臣事故アルトキハ内閣総理大臣臨時ニ其ノ各省大臣ノ職務ヲ代行ス

第十條　各省ニ大臣官房ヲ置ク

　大臣官房ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル

　　一　機密ニ属スル事項

　　二　官吏ノ進退身分ニ関スル事項

　　三　大臣ノ官印及省印ノ管守ニ関スル事項

　　四　公文書類及成案文書ノ接受発送ニ関スル事項

　　五　統計報告ノ調整ニ関スル事項

　　六　公文書類ノ編纂保存ニ関スル事項

　　七　本省所管ノ経費及諸収入ノ予算、決算並会計ニ関スル事項

　　八　会計ノ監査ニ関スル事項

　　九　本省所管ノ官有財産及物品ニ関スル事項

　　十　其ノ他各省官制ニ依リ特ニ大臣官房ノ所掌ニ属セシムル事項

第十一條　削除

第十二條　各省中省務ヲ分掌スル為局ヲ置ク

　各局ノ分掌事務ハ各省官制ニ於テ之ヲ定ム

第十三條　大臣官房及各局ノ分課ハ各省大臣ノ定ムル所ニ依ル

第十三條ノ二　前條ノ規定ニ拘ラス局中局務ヲ分掌スル為部ヲ置クコトヲ得

　前項ノ部ニ関シ必要ナル事項ハ各省官制ノ定ムル所ニ依ル

第十四條　各省ニ左ノ職員ヲ置ク

　　政務次官

　　次官

　　参与官

　　局長

　　秘書官

　　書記官

　　事務官

　　属

第十四條ノ二　各省政務次官ハ勅任トス其ノ定員ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム

第十四條ノ三　政務次官ハ大臣ヲ佐ケ政務ニ参画シ帝國議會トノ交渉事項ヲ掌理ス

第十五條　各省次官ハ一人勅任トス

第十六條　次官ハ大臣ヲ佐ケ省務ヲ整理シ各局部（省外局部ヲ含ム）ノ事務ヲ監督ス

第十六條ノ二　各省省務ノ枢要ニ従ヒ其ノ所掌事務ノ一部ヲ総括整理スル勅任官ヲ置クコトヲ得其ノ必要ナル事項ハ各省官制ニ於テ之ヲ定ム

第十七條　各省参与官ハ勅任トス其ノ定員ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム

第十七條ノ二　参与官ハ大臣ノ命ヲ承ケ帝国議会トノ交渉事項其ノ他ノ政務ニ参与ス

第十七條ノ三　大臣官房ニ官房長一人ヲ置キ高等官ヲ以テ之ニ充ツ

　官房長ハ大臣ノ命ヲ承ケ大臣官房ノ事務ヲ掌理ス

第十八條　各局局長ハ一人勅任トス大臣ノ命ヲ承ケ其ノ主務ヲ掌理シ及局中各部課ノ事務ヲ指揮監督ス

第十九條　各省省務ノ一部ヲ総括スル勅任官又ハ奏任官ヲ置クコトヲ得其ノ必要ナル事項ハ各省官制ニ於テ之ヲ定ム

第二十條　各部ニ部長一人ヲ置キ勅任又ハ奏任トス上官ノ命ヲ承ケ部務ヲ掌理ス

　部長ハ前項ノ規定ニ拘ラス各省官制ノ定ムル所ニ依リ高等官ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得

第二十一條　秘書官ハ奏任トス大臣ノ命ヲ承ケ機密事務ヲ掌リ又ハ臨時命ヲ承ケ各局部ノ事務ヲ助ク

第二十二條　書記官ハ奏任トス大臣ノ命ヲ承ケ大臣官房ノ事務ヲ掌リ又ハ各局ノ事務ヲ助ク

第二十三條　事務官ハ奏任トス大臣ノ命ヲ承ケ大臣官房又ハ各局ノ事務ヲ助ク

第二十四条　大臣官房及局中各課ニ課長一人ヲ置キ高等官ヲ以テ之ニ充ツ課長ハ命ヲ上官ニ承ケ課務ヲ掌理ス

第二十五条　属ハ判任トス上官ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ従事ス

第二十六条　削除

第二十七条　本則ニ掲クルモノノ外各省特別ノ職員ヲ置クコトヲ要スルモノハ各省官制ニ於テ之ヲ定ム

　部長、秘書官、書記官、事務官、属及前項ノ規定ニ依ル職員ノ定員ハ各省官制ノ定ムル所ニ依ル