物語導入部分のみ

ケタケタケタ。黒くて不気味な影が、何がおかしいのか笑っている。私はその黒い影に尋ねた。


「ねえ、なんで笑っているの? こわいよ。やめてよ」


ケタケタケタ。それでも影は笑うのをやめてくれない。それどころか、わらわらと黒い影が増えていく。


ケタケタケタ。ケタケタケタ。ケタケタケタ。ケタケタケタ。


「やめて、やめてよ……」


不安で不安でたまらなくなった。目には涙が潤った。アキは目をくしゃくしゃにつむって、耳を塞いでうずくまった。


◆◆◆


(ごはん、おいしい)


校舎の外のベンチでアキは膝の上のお弁当を食べている。周りには誰もいない。何故だか、この場所には人が近づかない。静かな木々のざわめき。騒がしい場所の苦手なアキにとってここは格好の場所だった。


アキは母親の作ってくれるお弁当が好きだった。中でも卵焼きは一番美味しい。ほんのり甘く味付けされたそれは、アキを喜ばせた。

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