静かで綺麗な物語が、そっと心に残る読書体験。
- ★★★ Excellent!!!
すごく読ませてくれる文章でした。言葉がすっと入ってきて、心地よくスラスラと読める。
優しさと品のある筆致で、不思議で綺麗な世界を見せてもらいました!
全体を通して、詩的で静謐な文体が非常に印象的で、
地の文や対話文が過剰に説明的になることなく、「わからなさ」や「余白」をそのまま残してくれるのがとても心地よかったです。
特に感情や成長の描き方が秀逸で、言葉ではなく、行動や表情、空気感を通して心の動きが伝わってくる描写に何度も引き込まれました。
物語を通して心に残るのは、やはり笹原隆太という存在ですね!
自由で不思議で、少し夢の中のような雰囲気をまといながらも、自分の軸をしっかりと持っている。
そんな彼が、時に“案内人”として誰かを導き、また“見守る者”として静かに寄り添ってくれる。
そして、彼と出会った人たち──等身大で描かれる美夏や村田たちは、彼との時間を“思い出”として胸に抱きながら、それぞれの歩みを続けていく。
笹原が思い出に残ることで、読者目線でも登場人物たち自身が深く心に残る。
それがこの作品の素敵な循環であり、物語全体にあたたかな余韻を与えてくれてると感じました。
読み終わったあとの余韻が心地いい素敵な作品でした!