━☆ 》13話~シシリーが最強!
さて、どうやって言い訳をしようかな……。
なんて悩んでミチルに向かいながら歩いていると、向こうからやって来てガシッと腕を掴まれた。そしてそのまま神殿の外へ、いや村の外へ連れて行かれた!
一体何?!
ミチルは辺りを見渡し誰もいないのを確認してからバンと木の塀を叩いた。
壁ドンなんて、リアルでもされた事ないのに……。
「どういう事? 何で炎の石なんだ?!」
「えー! 何でわかったの?!」
「チーム組むと仕事は共有で見れるの!」
「そうなんだ……」
あぁ……何を受けたかは伝えるまでもなかったけど、さて何て説明すれば……。
「バシップをMAXにさせたの。そうしたらこういうのしか出て来なかったのよ」
私の代わりにシシリーが答えてくれた。って、シシリーが勝手に受けたんだから彼女が説明すべきよね?
「いやいやいや……。それお金云々の話じゃないよな? あそこにいてどうやってアイテムを揃えた?」
「それは企業秘密で……」
「企業秘密って……。出来る仕事がないなら止めろよな! あんたならわかっただろう?」
「勿論! ミチルが強いのがわかっているから引き受けたのよ。それに一番高いのって言ったのは、ミチルでしょう?」
「確かに一番高いのって言ったけど……。って俺は別に強くねぇよ!」
「またまた~。あの道をランク3で一人でこれませんから普通は! ランク4のジョブは、このクエストを考慮して選んで下さいね。宜しく!」
「………」
流石のミチルもシシリーの口には勝てないらしい。絶句してしまった。
そう言えば、さっきの仕事でランク4に出来るって言っていたっけ。シシリーちゃんと覚えていたんだ……。
「ご、ごめんなさい」
「はぁ……。いや、おたくが超初心者だったって事を忘れて全部任せた俺のミスだ」
頭を抱えため息をつきながらミチルは言った。
「わかった。ちょっくらランク上げてサブ選んでくるから……。戦闘の仕方ぐらいレクチャーしとけよ!」
「任せておいて!」
軽く手を振り、ミチルは村の中に入って行った。
私はここに居て大丈夫なんでしょうか?
まあ、敵はそうそうでないとはおもうけど。
「さてと。まずは歌をランク10まで上げるわよ」
「え? 歌を?」
「時間がもったいないから早く!」
「わかったわ。歌をランクアップ!」
《歌がランク7になりました》
よくわかんなけど、今は従うしかなさそう。もう仕事受けちゃったし、足手まといにならないようにはしたい。
「研ぎ澄まされた技を使う者の癒しの時間。漲る力の源よ。蘇れ♪」
私の体が光に包まれた。
シシリーはうんうんと頷いている。
でもなんか悔しい。シシリーの策にはまった感じがするわ!
「研ぎ澄まされた技を使う者の癒しの時間。漲る力の源よ。蘇れ♪」
私の体が光に包まれた。
「ねえ、これ終わる前にミチル帰ってこない?」
「大丈夫よ。一人一つの用件で終わりなの。もう一つあるならもう一回並び直し。だからミチルもお金に代えるだけで一旦戻ってきたでしょう? はい、回復して~」
「研ぎ澄まされた技を使う者の癒しの時間。漲る力の源よ。蘇れ♪」
私の体が光に包まれた。
なるほどそういう事か。滞りなくやれば15分ぐらいで終わるもんね、この作業。
「研ぎ澄まされた技を使う者の癒しの時間。漲る力の源よ。蘇れ♪ 歌をランクアップ!」
《歌がランク8になりました》
私の体が光に包まれた。
――こうして、歌のランクを10まであげ、最後の歌を歌った時だった。
「研ぎ澄まされた技を使う者の癒しの時間。漲る力の源よ。蘇れ♪」
「お待たせ。って歌の練習?」
「きゃ」
急に声を掛けられ驚いて悲鳴を上げてしまった。
「そんなに驚く事もないじゃん!」
「あ、ごめん」
「別にいいけどさ。シシリーに言われた通り、エレメントガード(炎系)にした。文句ないだろう?」
「通じたのね! ありがとう」
「そっちのいう事を聞いたんだからその後もチーム宜しくな!」
「え!?」
「まあ、そうなるでしょうねぇ」
「え? シシリーわかっていたの?」
私は二人を見比べる。
もしかしてこの二人、駆け引きしていたの?
「ミチルからしてもなつめは強いってわかったって事。ミチルだって同じ環境だったって事よ。強くてもソロだと行けない場所っていっぱいあるから……」
「っち。やっぱりわかっていて話振っていたのか。シシリーにはかなわないな」
シシリーが最強ということですね……。
でもミチルもただでは起きてないわね。
って、やっぱり私が二人について行ってないような気がする……。
「あのさ。エレメントガードってどんなジョブ?」
「はい。サポートさんのお役目ですよ」
からかう様にミチルが言うと仕方ないなとシシリーが説明を始める。
すみませんね、手間を取らせて!
「炎吸収とやけど耐性のバシップを持った戦士系のジョブよ。戦士(体力型)をジョブにしていれば、出て来るジョブなの。このジョブには、炎は効かないって事ね」
「へえ。あ、私は? やけど耐性はあるけど……」
「やけどは防げるけど、普通に炎の攻撃ダメージは受けるわよ」
えぇ。どうするのよ! HPだって少ないのに!
そう思っていると、シシリーは私の耳元で囁いた。
「後は、神官の服を3まで上げて、ファイヤーのランクをMAXにして」
「でもスキル回復していたらバレない?」
「大丈夫よ。歌の練習だと思わせておけば」
「おーい。何内緒話してるんだ~」
私はビクッと体を振るわせた。
シシリーの言う通り、歌の練習だと思ってくれるかな?
って、ファイヤー上げても意味ないと思うんだけどなぁ……。
「あ、そうそう。二人だけで行くの?」
「いや、魔法使いを一人呼んでおいた。今、ちょっと出てるみたいなんだ。だから待ち合わせの場所まで行こうぜ」
ミチルは、村に戻るのではなく、北10と反対側つまり更に東の道に進んでいく。
どこで待ち合わせ? まあ、いいや。その人と会う前に服をランクアップさせておこう。
「神官の服をランクアップ」
《神官の服がランク2になりました》
私はボソッと呟いてランクアップさせた。チラッと前を行くミチルを見るも気づいていないみたい。
まあこれは、何も変化ないからね。
「研ぎ澄まされた技を使う者の癒しの時間。漲る力の源よ。蘇れ♪」
私とミチルの体が光に包まれた。
これには反応してミチルは振り向いた。
「うん? 何した?」
「あ、歌の練習してるから気にしないで」
「ふ~ん。真面目だね~」
特段気にした様子もなくまた歩き出した。
私達は、たまに光を帯びながら待ち合わせの場所まで歩いていた。
言われた通り、神官の服をランク3まで上げた。
物理防御+1、MP+20、SP+20になりました!
神官の服【ランク3/物理防御+1・MP+20・SP+20】
ついた場所は、道が複数交差したところだった。
「ここで待ち合わせ。ここは、王都にも遺跡にも続いてる道が交差しているところ……って聞いてる?」
私は待ち合わせ場所に着いたら、シシリーからやるように言われた書き写しをやっていた。
書き写しとは、歌をマッピングのメモ機能を使って、メモに書き写しておく事。そうすれば、戦闘中にメモを見ながら歌えるから!
魔法防御と魔封じを覚えていてそれで私は対抗する作戦で、物理攻撃UPと魔法攻撃UPの歌もあって、それも書き写す予定。
間違ったら効果がないから真剣です!
「うん……聞いている」
「……聞いてないだろう。よくわかんないけど、聞ける状態になったら言って」
「うん……」
ミチルは暇そうに空を仰ぎ、私は作業に
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