第33話『京都へは3000円でいけるけど』

せやさかい・033『京都へは3000円でいけるけど』 





 京都とエディンバラは姉妹都市。


 京都には電車で行ける。エディンバラには電車では行けません、外国やさかい。


 外国に行くにはパスポートがいる!


 あたりまえのことに気ぃついたんは昨日のこと。


 パスポートは定期券なんかとちがうさかいに、取りに行ってすぐにもらえるもんとちゃうんですよ!




 パスポートならあるよ。




 お母さんは、自分の顔の横でヒラヒラさせて見せてくれる。


「え、なんで?」


「ほら、お父さんの事で、いつ海外に出なきゃ分からなかったからね」


 思い出した。お父さんが海外で失踪したんで、いつ連絡が入ってもええようにパスポートは用意してたんや。


「エディンバラは、お母さんも行くからね」


「え、なんで!?」


「スミスさんから連絡があった」


 スミス?


「頼子さんのお父さんよ。娘が無理を言って申し訳ないって、あと、旅行てか、合宿についてのいろいろ。わたしが別口でエディンバラに行くこともご存知だったし、いやあ、さすがスミスさんだわ」


「あ、なんや、そうやったんか」


 納得するとお母さんは休日出勤のために玄関を出て行った。


 朝ごはんを食べてるうちに、ジワ~っと疑問が湧いてきた。


 なんで、頼子さんのお父さんがうちのお母さん知ってたんや?


 それと、パスポートはともかく、旅費とか宿泊費はどないするんやろ? 京都やったら三千円もあったら往復出来てご飯も食べられるけど、エディンバラは、そうはいけへんやろ。世間知らずの女子中学生でも三千円でエディンバラに行けるとは思えへんよ。


『ああ、大丈夫よ。アゴアシはうちで持つから。飛行機は、ちょっと小さいけど自家用ジェットだし。それよりもお願いがあるの……あ、電話かかってきた。くわしくは明日の部活で、そいじゃ!』


 そこで電話は切れてしもた。


 えと、頼子さんに確認の電話したんです。


 


 その夜、考えすぎたため、すごい夢をみてしもた。


 どんな夢か、それは次回のおたのしみ。

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