願い (詩2)

性格を変えたい。

いや、変えなければならない。

この性格では、この先、生きていけない。

傷だらけの腕の先に、死がチラつく。

天涯孤独に加えて、根暗、無口、臆病、対人恐怖、優柔不断、性悪……。

どうして私だけ、こんなにたくさん抱えているんだろう。

せめて1つだけなら、何とかごまかせるのに……。

根暗を隠すために無理やり明るくしていた。

無口を隠すために無理やり会話を作っていた。

臆病を隠すために強い自分を演じていた。

対人恐怖を隠すために人前に出る仕事に就いた。

優柔不断を隠すために自分の主張を無理やり押し通そうとした。

性悪を隠すために奉仕活動に無理やり参加し、そういう既成事実を作った。

でも……。

どんなにそれらしく振舞っても、中身を変えることはできなかった。

どうしてもできなかった。

中身を知られまいと、精一杯、違う自分を演じ続けた。

精神が磨り減るまで演じ続けた。

薬で脳内物質をいじくりまくってでも、違う自分を演じ続けた。

だけど……。

人は離れていく。

中身を見抜かれて離れていく。

違う自分でいなければ、初めから誰も相手にしてくれない。

どうしたらいいんだ?

なんの手段も無い!

表面上の付き合いしかできない人間になんか、生まれたくなかった。

性格を変えたい。

でも、できない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る