倫理観の欠如した世界を舞台に、冤罪の青年が「異世界迷宮追放刑」として世界の侵略を強いられる導入が独創的だ。迷宮運営をTRPG形式の盤上遊戯として描くメタ的な構成が光る。案内人BBの過激な言動やブラックユーモアが物語に毒気を与え、自らの生存と刑罰執行のために他世界から資源を奪うという、徹底して冷徹で倒錯した世界観が本作の大きな魅力である。侵略を「刑罰」としてこなす非情な設定とメタ的な戦略要素が融合した本作は、ダークな世界観や倒錯的なヒロインを求める読者に推奨したい。
他人の不幸は蜜の味、とはよく言うものですが、この物語は様々な不幸と悪意に踊らされる者達によって成り立っている。もちろんそれは主人公も例外ではなく、その踊り狂うさまを煽り散らかし、読者の性癖を歪めようと虎視眈々と狙ってくるヒロイン──。さらに、文章に差し込まれる様々なオマージュや、ダークファンタジーを形作る怪物や世界観のエッセンスが加われば、これはもう面白いとしか言いようがない。読んだなら、人の前では見せられない歪んだ笑みを作ってしまうこと請け合いです。