第43話 ゲーセンへ

弥栄美優。

彼女は.....親が実親では無い。

その事も有りながら必死に生きている。

俺は複雑な思いながらも笑顔で.....美優に接した。


「.....子供に触れたのは久々だったけどそれなりには楽しいね。お兄ちゃん」


「.....そうだな」


リビングで美優ちゃんを寝かせてから。

俺達は会話していた。

今日は母さんは仕事が遅い様だ。

その為、智久さんと一緒に.....お茶を飲みながらテレビを観ていた。


「私は.....変われるかな。美優ちゃんで」


「.....突然どうしたんだ?」


「.....美優ちゃん、特別な感じがするからね。私がまたレベルアップするきっかけ気になればと思うんだ」


「.....」


特別な存在、か。

俺は.....テレビを観ながら考える。

テレビでは列車事故の事が取り上げられていた。

俺はそれを複雑な面持ちで見つめる。


「夏帆は変わったから.....大丈夫」


「.....そうかな、パパ」


「うん。僕が保証するよ」


だったら良いな、と笑みを浮かべる、夏帆。

俺は.....それを見てからお茶を啜った。

うむ、美味い。

流石は何度も淹れているだけあるな。


「美優ちゃん、列車事故に遭っても強いよね」


「それは確かにな。俺よりも強いと思う」


「.....この一週間、楽しませれたら良いな」


「.....お前らしからぬ言葉だな」


本気で変わりつつ有るんだなと思う。

俺は.....智久さんから聞いた言葉を.....思い出す。

列車事故の被害者は実親じゃ無いという事を。

そして首を振った。


「.....明日、テスト休みだったよな?どっか連れて行くか、美優ちゃんを」


「.....それ良いかも。じゃあ何処に行く?」


「そうだな.....」


この辺りで遊べそうな場所か。

ゲームセンターが出来そうだったよな?

あそこならどうだろうか。

思い、提案した。


「ゲームセンターが出来たよな?あそこ行くか」


「.....あ、それ良いね」


「決まりだな」


智久さんが気を付けて行って来るんだよと微笑んだ。

俺と夏帆は、はい、と返事をした。

そして明日はゲームセンターに行く事になり。

母さんも帰って来ての翌日になった。



「楽しみ!」


「お小遣いの範囲内で遊ぶぞ」


「うん!お兄ちゃん!」


午前十時。

本当に朝から元気だな。

思いながら.....俺達は左右から手を握って歩く。

すると夏帆が少し恥じらっているのに気が付いた。

俺は?を浮かべる。


「家族みたい.....」


「.....あ.....」


それは.....確かにな。

俺も少しだけ赤面する。

恥ずかしくなった。

思いながら.....前を見ると。

固まっている佑太郎が居た。


「.....お.....お前.....その子.....隠し子.....???」


「お前.....何を勘違いしてんだ。殺すぞマジに」


「隠し子ぉ!!!!!」


涙を流して泣き叫んで去って行きやがった。

大声で、だ。

あの野郎!!!!!殺す!!!!!


思いながらクエスチョンマークを浮かべている美優ちゃんを夏帆に任せて。

勘違い野郎を殺しに行った。

これをたっちゃんに知られたら更に面倒だ!


「待てコラ!佑太郎!!!!!」


「隠し子ぉ!!!!!」


「ちげぇっつってんだろうが!!!!!ハゲコラ!!!!!」


そして佑太郎を追跡しながら曲がり角を曲がると。

たっちゃんに遭遇した。

俺は愕然としながら立ち止まる。

佑太郎も立ち止まった。


佑太郎は声を発して無かったが、たっちゃん、に叫びが伝わっていた様だ。

たっちゃんは青ざめている。

そして俺の胸ぐらを掴んできた。


「隠し子って何.....?????」


「誤解だっつうの!!!!!アホ共!!!!!」


「隠し(ry」


「お前、マジに殺すぞハゲ!」


そこの男を殺して黙らせてから説明しようと思った。

のだが、夏帆が先にやって来て。

俺達を目をパチクリしながら見る。

何をしているの?と、だ。


「助けてくれ。夏帆。コイツらマジに誤解している」


「その小学生.....誰?夏帆ちゃん」


たっちゃんが驚きながら聞いた。

すると.....夏帆はかくかくしかじかと説明し始め。

直ぐにたっちゃんは納得して。

佑太郎を締めあげた。

ああ、良かった。


「初めまして、弥栄美優です」


「礼儀正しいね。ちょっと待ってね。コイツを殺してから.....」


「挨拶がそれだったら怖がるだろ!たっちゃん!」


とりま、ゴタゴタが直ったから良かった。

すると殺された佑太郎とたっちゃんが俺達に向いてきた。

じゃあ、ゲーセン行くの?と、だ。


「.....私も付いて行って良いかな?暇なの」


「分かりました」


「じゃあ俺も」


「喧しい。お前は死ね。この誤解野郎」


ひでぇな、それが友人に対する言い分か。

何を言ってんだ言い分もクソも有るか。

俺は怒りながら佑太郎を見ていると。

間に、喧嘩しちゃダメ!、と美優ちゃんが割って入って来た。


「ね?」


「.....仕方が無いな」


「おう.....」


小学生に止められる高校生と思い、情けなくなった。

思いつつ、落ち着きながら佑太郎に来るか?と聞いてみる。

佑太郎は頷いた。

俺はそれを確認してから美優ちゃんを見る。


「大勢だけど良いか?美優ちゃん」


「うん!大勢は楽しい!」


「.....そうか」


列車事故も.....何もかもを美優ちゃんから忘れさせよう。

今日はパーッとするんだ。

思いながら俺達はゲームセンターに向かった。

何も起こらない事を願いながら。

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