第8話 マル秘ノート
騒ぎを聞きつけた警備員を伴ったスタッフが部屋に駆け付けてきた。
「何かございましたか?言い争いと物音が聞こえたと連絡があったんですが・・・」
訝しげな警備員に、
「・・・すみません。どうもテレビの音が高かったみたいで・・・。ね、
「・・・あ、はい。・・・私が椅子を蹴って転んでしまいまして・・・」
そうですかと、スタッフと警備員は頭を下げて帰って行った。
ドアを閉めると、
二人の脚にはヒモが括りつけてあった。
その長く伸ばされた端っこは、
「・・・よし。行ったな」
「・・・金沢ァ、こんなことして・・・・タダで済むと思ってんのかあ・・・」
「おっ。まさに悪人が言うセリフだな。それ」
ケタケタと
上半身こそアロハ姿だが、下半身はスボンと下着まで脱がされた
騒いでいるのを不審がられ、人の気配を感じ、そのまま
「・・・たか・・・じゃなくて、金沢先生。もう、やめてよ・・・。どうすんの、これ・・・」
「どうって。どーすっかなあ・・・」
にやりと笑う顔はまるで悪魔のようだった。
「そ、そうか・・・わかったぞ・・・。金沢。お前、
「バーカ。んなわけねえだろ。おめーんとこの姪っ子じゃねえんだからよ。あー、
「・・・は?・・・
「・・・ちょっと、やめなさい・・・」
「ユカパイ、いろんな生徒とヤッてんの知らねーの?」
「やめなさい!」
「・・・
「・・・なんだよ・・・」
「・・・んじゃま、そういうことだから。関係ねえってさ」
「・・・か、関係なくないっ。・・・なんだ、どういうことだ・・・」
「ま、今はこっち優先してよ」
「とりあえず。落とし所みつけようじゃん。まず、
「・・・なん、だと・・・?!」
「ほぼ事実だろがよ。聞けよ。・・・もひとつは、俺、じゃない、アタシと
「ちょっとアンタ何言ってん・・・」
「・・・そうして、くれるか」
「おう。・・・な?
「・・・・・え・・・」
「いいよな?いいんだよ!」
「・・・あ、ああ、うん」
「オッケー。んじゃそう言うことで」
紐の端を
「
「・・・は、はあっ?何をバカな・・・」
「出すよな?な、全員分。・・・言うぞ、言うかんな?」
「・・・わかった」
よっしゃと、
翌日翌々日は石炭と化石の博物館や、水族館、市場等を周り、宿は変えずの工程だったので、助かった。
いつも嵐のように喧しい学生たちだが、海辺に残る震災の傷跡を見て、静まり帰ったのが印象的だった。
表紙にマル秘ノートという思わせぶりなタイトルが付けられているのが全くばかばかしい。
家族構成とか、何か気をつけなければいけない事を書き出してくれと言って自分の分は渡していた。
最初は元気いっぱいでバスガイドと一緒にゲームをしたり、さかんに飲み食いしていた生徒達だが、バスに揺られて、すっかり寝入ってしまっていた。
「ええと・・・名前は
生年月日が名前の由来のようだ。
「趣味、ゲーム、アニメ鑑賞。・・・あいつオタクか。好きな食べ物、ハンバーグ、カレー、ラーメン、丼物、スイーツ、あんこ系も好き。嫌いなもの、辛いもの。酢の物。若いのにあんこ好きなんだ。ふーん・・・って。・・・もっと役に立つこと書けよ。普段の行動とか。・・・家族構成。父、兄。名前。父、
もっとこう、人となりとか書いて欲しい。
最後の一文に目が止まった。
「・・・どっちもあんまり家にいないから大丈夫、か」
ここんちも、大丈夫じゃないみたいだ。
気が重いまま、
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