第45話:洞窟探検

「武器の手入れ終わってないじゃん!」

「文句なら、ミハエルに言え。対応する数が多いいんだよ!」

ホーウェンさんが、苦虫潰した様な顔でミハエルさんを睨む。

「サンキュー!ドゥベル!」

そういうと、すぐに後ろを向いてホーウェンさんから顔を外した。

明らかに、悪い事をしらばっくれる子供の様な対応。

「私の武器もお願いしたかったわ。」

ワープアイテムで、後から来た女性陣とウォーレンさんの一団の中からキョウコさんがいった。

「無理いうな。それよりも準備はどうだ?」

「睡眠もお肌も抜かりなし!」

「なら大丈夫か。」

聞いたのは洞窟探索の準備だったと思うのだけど、その返事で全て問題ない(オールクリア)のですか。

「私の方も準備万端です。」

紋章官ウォーレンさんも戦闘用の服に着替えて、整えてきた。

今回、武器記録試験の時に手伝ってもらった、タイタンも呼び出せる準備をしてきたとのことです。

「みんな揃った様じゃの。」

改めてアナハイムさんが全員を見渡す。

カレンちゃん以外はクフラン都市国家に居たみんな集まっている。

そのカレンちゃんは、昨日の衛兵にまた素っ気なくかわされ、腹いせに一人でウィンドウショッピングを楽しむらしい。

きっと爆買いするだろうな。

同行して危険な目に合わせたくはないので、本当に大人しくしててほしい。

「それじゃぁいくかの。」

「俺たちの行動を追ってクフランの衛兵がこの場所を捜索に来る可能性がある。手短にいくぞ!」

ドゥベルさんが指揮をとり、洞窟に向かって入っていった。

「洞窟内のマップはすでに昔の攻略で用意してあるけど、今回向かう場所はとりあえず祭壇だよね。」

ミランさんが、地図を広げながら、行き先を確認した。

「そうじゃの、まずそこを重点的に調べて、変化がないかチェック。行き止まりも何か変化ないか探すんじゃ。」

「地図がない時、何でこう、奥まった行き止まりばっか!と思ったけど。何かの伏線だったのかと・・・」

「ただの嫌がらせでしょう。この洞窟そう言うの多かったからね。」

「相当前で忘れているだろうけど、ここの攻略はトラップもふんだんにあるから気をつけて歩けよ。」

「ウィ〜っす」

「は〜い」

冒険者さんは気の抜けた声で返事をした。そんなに大変でもないトラップかな?

僕も返事をしようとした時だった。

ガコン!

「えっ!」

みんなの目線が自分に集まる。

「おい・・・」

ドゥベルさんが立ち止まり、ゆっくりと振り向き、ものすごい目つきで僕を睨んだ。

「ふんじまったな。」

「ええ、ふんじゃったね。」

後ろから付いてきたシャナンさん達も、前を歩いていたドゥベルさん達も、みんな一斉に僕から距離を置いた。

えっええ!?

みんな僕を中心に円形に離れたので、僕はどっちに移動すればいいかわからなかった。

「ジョナサン。とりあえずマグをパス!」

ヤヒスさんが手を伸ばしてそう言うので、すぐに僕はそれを渡した。

「そうじゃ、ジュナサンはLV上がりたてでトラップ回避スキルが無かったか!」

「よりによって、ここのトラップか。」

「えっ、でっ僕はどうすればぁぁああああああ〜」

そう発した言葉の語尾が伸びていく。

床がいきなり抜けて、体が真下へ落ちて行く。

深淵の様な穴の壁に何度かぶつかり、広いところに出た。

ボフンッ!

何かの上に落ちたのはわかったけど、ものすごい柔かくドロっとしていた。

「何だこれ・・・」

鎧を通り越して、シャツにヌメリとしたものが入ってきたので、すぐに立ち上がった。

体は特に問題なさそう。

暗くてわからないけど、それが何なのか匂いでわかった。

「くっさあぁあああ!」

ヘドロの様に体にまとわりついた。それは堆肥の様な匂いがした。

でも、周りが暗くてわからない。

僕は手についた。そのヌメリでカバンを触るのも出すのも嫌だったけど、中からライト用の魔法石(洞窟に入る前に、アナハイムさんから渡された物)を取り出して効果を発した。

光がついて、案の定、目視したくない茶色い物が自分の体と地面に広がっていった。

「うわっ。。。ウッ、うえぇっ〜〜〜」

ものすごく臭く堆肥の匂いで吐き気がした。

肺に吸い込んだその臭い匂いを吐き気と共にぶちまける。

でも、吐いた後また、呼吸をするとそのきつい匂いが再び入ってくる。

息と共に一緒にハエと、蛆虫が体の穴という穴から入ってきそう。

『あ〜あ〜〜クッサイ、クッサイ、ジョナサン、ジョナサン!聞こえるか?』

クランの連絡用魔法石からミハエルさんの声がした。

「はい・・・・・」

『大丈夫か〜。』

「どっどうにかと・・・」

息を吸い込みたくないので、あんまり話したくもない。

『うん、大丈夫だね。俺たちそこには行きたくないから、出口で待ってるわ。』

「あい。」

『道なりに、来てくれ。』

『ローリアのマグをこっちで持ってたのは幸い。これ汚すわけにはいかない。』

確かにその通りだと思います。ヤヒスさん。

洞窟の入り口で僕も冒険者さんと一緒に救出作戦を決行するんだと息混んでいた自分がみっともない・・・

足下を動かすと靴の中にもその汚物が入ってくる。

歩きたくないけど、これ出口までどれだけあるんだ。

僕は汚れた手で体の他の部分を触ると余計に汚れるので注意しながら、唯一ある出口に向かって歩き始めた。

何なんだこのダンジョンは。

初っ端から出鼻を挫かれて、ただテンションが下がるだけだった。

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