歴史書etc~古代からの贈り物~

これまで「史記」「春秋左氏伝」「竹書紀年「資治通鑑」の四書について書いてきたが、勿論他にも沢山の歴史書が残っている。「漢書」「後漢書」「国語」「戦国策」「春秋公羊伝」etc…、様々な歴史書があるが、そのなかで近年発掘された、比較的新しい書「戦国縦横家書」を紹介しようと思う。

近年発掘技術の進歩と近代化により、中国大陸の様々な遺跡が発掘されている。「兵馬俑」や「曹操の墓」、「夏王朝の遺跡らしきもの」等の大物だけでなく、諸侯クラスの墓もまた発掘作業が行われている。その中のひとつ、前漢時代の諸侯の墓から10万字を超える帛書(絹布に書かれた書)がでてきた。その帛書を、発掘された場所にちなみ「馬王堆帛書ばおうたいはくしょ」と呼ぶ。帛書には後世に伝わらなかった様々な記録が残されていたが、その中に戦国時代の「縦横家」の事項が記載されていた。これを取りまとめたのが「戦国縦横家書」である。

実は史記の年代の乱れの一つに「蘇秦」という人物の功績と行動の不明瞭さがある。仕えた人物も時期もばらばらなのだ。さらに一族も同じような「縦横家」であったため、本人が行った物なのか、血縁者が行ったものなのかがわからず、ややこしいのである。その点をこの書が一筋の道を指し示してくれた。詳細は省くが、蘇秦は一貫して「燕」の国のために働いていた事が判明したのだ。まだ謎の多い人物であり、血族との問題も解決してはいないのだが、一つの歴史書が少しでも矛盾を解きほぐす事ができた事実は揺るぎない。

しかし、未だに2000年以上前の歴史書が出土するのだから、古代中国の底力恐るべしである。まだまだ発見があることをみると、これからも新たな事実が出てくるのは間違いないであろう。

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