春秋左氏伝~「夏姫」を通して見る「左氏伝」~

「夏姫」といえば、宮城谷昌光氏の「夏姫春秋」が有名であるが、あの話の大部分は「春秋左氏伝」に記載されている。もちろん、氏の卓抜した見識により更に昇華されているので、未読の方は一度読まれる事をおすすめしたい。 

さて「左氏伝」(これからはこう略称する)における「夏姫」に関わる部分は、かなりスキャンダラスなものとなっている。夫が続けて夭折したことで疑われたり、若い未亡人になったあと君主や重臣二人と私通したり、我が子が君主を弑したりと、何故こんなにも夏姫に執着したのかといわんばかりに次々とニュースが出てくる。

夏姫が淫蕩な性質で次々と男を食い物にしていったのか、流れる運命のままに翻弄された悲劇の美女かはそれぞれの想像次第だが、左氏伝にはこのようなゴシップ的な記述が詳しく載っていることを知ると、歴史書の「お堅いイメージ」とは違う楽しみもみえて来る。

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