酒呑童子と茨木童子は夫婦だという説がありますが、本作はそれに基づいたお話になります。今日では残虐な悪鬼として歴史に名を残す彼らの知られざる一面が明かされます。また四天王のひとり、坂田金時もまたひとに言えぬ心情を隠し持っていました。歴史の闇に沈んで、決して光を当てられることのない「真実」は雨のように激しく、静かに、そして儚く消えていくような短編です。