【ごよん】海と君の詩

言葉にならない言葉が近頃は増えてしまった


声にならない声に乗せて今日も明日を見つめるが


その明日さえもやがて今日になってしまう


キラキラと光る砂浜を見てふと、思う


君を見ていると余計にそんなことを考える


君の瞳が海の向こうの夕日に照らされ輝いて


焦点はずっと先の地平線を見つめている


口には微笑を浮かべて頬は少しだけ凹んでいる


「なに笑ってんの?」


僕がそう聞くと彼女はそのままの表情で


「んーん、何でも」


と答えた そして、そのままゆっくりと瞳を閉じた


僕達は静かな海に見守られながら


互いの柔らかな唇を重ねたのだった


辺りは風と波の音だけ


まるで無人島にでもいるようだった

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