期待しないで見たボラプにハマりQUEEN沼にどハマりした話
深水えいな
特に期待しないで見た『ボ・ラプ』が衝撃的過ぎてQUEENファンになった話
※ガッツリ映画のネタバレしてますのでネタバレ注意!!
※にわかオタクなので間違った知識があったらすみません
※QUEEN箱推しです!!
私がQUEENにハマったのは、皆さんご存じ、映画『ボヘミアン・ラプソディ』を見てからでした。
こう言っちゃアレですけど、私は今まで若くて可愛い女の子や男の子のアイドルしか推したことはありませんでした。生粋の面食いです。
それがそこにヒゲでマッチョなタンクトップおじさん(しかも死んでる)や七十代のお爺さんが加わったので自分でもびっくり!
前まで推しのアイドルが結婚したり熱愛しただけで怒っていたのに、今や推しに孫がいる始末。ど~なってるの!?
……ということで語りますが、映画を見るまでは、私はQUEENについては、『WE ARE THE CHAMPIONS』と『WE WILL ROCK YOU』ぐらいしか曲も知りませんでした。
なにせライブ・エイドが行われた1985年には私はまだ産まれておらず、作中でかかる曲も私が生まれる前の曲ばかりでしたから。
ジョジョを読んでいたのに「キラークイーン」の元ネタがQUEENの曲名だってことすら知りませんでした。
メンバーもヒゲでマッチョなオッサンがボーカルって事ぐらいしか知りませんでしたし、何人編成のバンドかすら知りませんでした。
でも実際に映画館に行ってみると、世代が違うにも関わらず、この曲もあの曲もみんな聞き覚えがありビックリしました。
おそらくCMやドラマのBGMとして聞いていて知らないうちに刷り込まれていたのでしょう。
日本人のDNAに刻まれてる音楽、それがQUEEN!
そう言っても過言ではない……と思っています。それぐらい日本で親しまれているバンドです。
……とまあ、少し話はそれましたが、そんなわけで曲もメンバーもあまり知らず、なんか流行ってるらしいから一応見ておくかぐらいのつもりで映画館に入り、私はボラプを見たんです。
が……結果、私はボロ泣きしながら映画館から出てくるはめになりました。
もうね、最後のライブシーンなんかずっと泣いてましたよ。
ライブだけでなく、ラストで流れる『DON'T STOP ME NOW』でも私はボロ泣き状態。
何が泣けるかって、そこで実際の彼ら、若かりし頃の実際のQUEENの映像が流れるんですよ。
それが凄く楽しそうで、元気で、仲が良さそうで、キラキラしてて、でも現実にはフレディはもうこの世界のどこを探しても居ないんだって思うと……うわああああああ!! と涙があふれて止まらなくなりました。
明るいアップテンポの曲だけに、余計に刺さるんですよね。
フレディは最後はエイズで死ぬって事前にネタバレで知ってたし、もうこの世にはいない人を描いた映画だってのも知っていたんですが、それでもフレディに生きていて欲しかったな~と悲しい気持ちになりました。
この映画にはフレディが死ぬシーンが出てきません。悲しい映画じゃないんです。物語はバンドが団結を取り戻し、ライブが最高に盛り上がったところで終わるんです。
ライブが成功して、爽やかなラストで終わる。フレディが死んだところや辛い闘病生活は映さない。それがかえって胸を打ちます。
他にもグッと来るポイントはたくさんあって語りきれません。お父さんと和解するところとか、バンドのメンバーとの絆とか。
もちろん泣けるだけでなくクスッと笑えるシーンやスカッとするシーンもあります。夢を追いかけるバンド少年たちにワクワクする楽しいシーンも沢山あります。
まあ、とにかくすべてがいいんです。『ボ・ラプ』は。
一部には、ストーリーが浅いとかテンプレだとかゲイについての掘り下げが浅いとか事実と違うとか、そういう批判もあったそうです。
ではなぜ酷評する人がいる一方で、私を含めこんなにも熱狂するファンがいるのか?
そう思い、私は同じく『ボヘミアン・ラプソディ』にハマった人たちのブログやTwitterを漁りました。パブサってやつです。とにかく私以外の人がボラプを見て何を思ったのか知りたかったんです。
そして気づいたのは、ハマった理由や心に刺さったシーンが人それぞれだということ。
あるゲイの方は「そうそう! ゲイってどういう訳か好きな人と同じようなファッションや髪型になっちゃうのよね~周りがどんどん結婚していって寂しいのも分かる!」と書いていたり。
とあるバンドマンの方は「俺も若い頃はバンド仲間と田舎の別荘みたいなところで曲を作ったりしたんだよ。あんなふうに揉めたりしながらさ~」と語っていたり。
とある若者は「うちも親が保守的で自分のことを分かってもらえなくて孤独で……」と書いていたり。
他にも自分の好きだった70年代や80年代のロックを懐かしがって語るおじさんの話。
QUEENに憧れていた当時の友達と久しぶりに連絡をとり、一緒に映画を見に行き少女に戻ったというおばさんの話。
特に印象に残ったのは、孤独で病に苦しみながらもステージに立ったフレディを見て涙し、QUEENの曲を弾きたいとピアノの練習を始めた小学二年生の男の子の話。
もうこの話だけで涙腺の弱い私はボロ泣きですよ。
映画に影響を受けた様々な人のストーリーがそこにはあり、人によってグッとくるポイントも違うことに気が付きました。
思うに、『ボヘミアン・ラプソディ』の話は確かに批評家の言う通り単純なのかも知れません。
でも王道で単純なストーリーだからこそ、楽曲の良さが際立ったし、逆に観客が自分なりの感動ポイントを掘り下げる余地があったからなのではないでしょうか。
例えば 「僕は人を殺してしまった」というボヘミアン・ラプソディの歌詞一つ取ってみても、
「ファルーク・バルサラという昔の自分を殺してフレディになったことを示す歌だ」
という人もいれば
「ゲイだという自分のセクシャリティを隠して押し殺して生きるという意味だ」
という人もいて、受け取り方は聞く人それぞれだったりします。
この歌詞と同じようにボラプの映画もゲイだったり移民だったりをそこまでドロドロに赤裸々に語らなかったことで、逆に多くの人が自分なりの「答え」を映画の中に見つけることができたのかなーなんて思ったり。
実際にフレディも「歌詞はリスナーのもの」と言っていて、解釈は聞く人に任せて多くは語らなかったみたいですし。
この映画もそういう作りだったのではないかな、と個人的には思っています。解釈は人それぞれ!
ボラプの映画についてはストーリーだけでなく、登場人物についても、掘り下げが甘いと言う意見もあります。
ですが、個人的には覚えやすい登場人物ばかりだったおかげでスッと物語に入っていけて良かったと思っているんですよね。
バンドのメンバーたちだけ見ても、
タンクトップにヒゲでマッチョなボーカルのフレディ
長身でもじゃもじゃヘアーで知的なギターのブライアン
助走の似合う金髪イケメンだけど男気のあるドラムのロジャー
目立たないけれど穏やかで縁の下の力持ち的なベースのジョン
と、みんなキャラが立っています。
しかも四人全員がヒット曲をかけるんですよ。天才すぎません??
ある意味では実在の人物というよりは、漫画やアニメのキャラクター的で、そこが日本人にとって逆に受け入れやすいポイントだったのかもしれませんね。「QUEENは少女漫画だ」と言っている人もいましたし。
でも、「このキャラが気になる」と引っかかる人がいたら、自分なりに深く掘り下げることが出来るという所が魅力だと思っています。
特にブライアンとか、自宅の暖炉の木材からギターを自作してピックじゃなくてコインで弾くとか天体物理学の博士号をもっているとかキャラ立ちしすぎてこの人単体で映画を撮っても良いくらいだと思います。
でも映画はメンバーの全てを語らなかったことで、「もっと彼らを知りたい!」と逆にリピーターを増やし、興行収入アップに繋がっているようにさえ思います。
ジョンとか何の紹介もなくサラッと加入してるから、いやいや、加入するシーンくらい描きなさいよと思わなくもないですが笑
現に私も過去のインタビュー記事や映像を漁って彼らを知ろうとしている日々です。まんまと映画の制作スタッフや広報スタッフに踊らされているような気がしなくもない……。
そうして色々とバックグラウンドを知った上でもう一度映画を見てみると、一度目では分からなかったことが分かったりもして面白いです。
20世紀フォックスのテーマがブライアン・メイとロジャー・テイラーによる演奏だったり。
アダム・ランバートやブライアン、ジョンの子供たちがこっそりカメオ出演してたりなんてのも面白いです。
フレディは自分がエイズであることが分かった時に自分との交際をやめるべきだとジムに伝えたけれど、ジムはフレディが死ぬまでそばに居ただとかそういうことを知っていると画面にジムが映るだけで「ジム~~!!」ってなったり。
そうそう、ジムといえば! この人の本を読んだんですが、本当にピュアなんですよね。フレディに四つ葉のクローバーの栞を送ったり、フレディが死んだ瞬間に、彼に送った時計の針を止めたりとか。
バンドのメンバーだけでなく、飼い猫やスタッフの衣装、ピアノの上のペプシや灰皿の配置までそっくりなんてことにも気づくと、スタッフのQUEENへの愛の深さを感じます。
確かに『ボヘミアン・ラプソディ』には事実と違うところもあるし、本物のQUEENではないし、ストーリーは単純かもしれません。
でもクイーンのギタリストで映画の音楽監督もつとめたブライアンは「これは伝記映画ではなくアート作品だ」と言っています。
同じく映画に関わったドラムのロジャーも「彼は偉大なミュージシャンであり、作曲家だった。だから映画ではそうした側面がきちんと描かれていることを重視した。新聞が好んで書くような話だけじゃなくてね」と語っています。
思うに、残されたメンバーたちは、フレディを週刊誌のネタみたいに赤裸々に描くのではなく、色々と困難はあったし考え方も個性も違うけど、自分たちのバンドは最高だし、家族だぜ! ってことを伝えたかったんじゃないかな、と。
そしてフレディはその最高のバンドの魅力的で才能に溢れた格好良い俺らのボーカルだ! ということを描いた作品だったのではないでしょうか。
私が思うに、あの映画はQUEENの楽曲の良さを後世の人に伝えるための予算と時間をたっぷり使ったちょっと長くて壮大なMVだったのかな、なんて思ったりもしています。
そう思うと多少事実と違うところがあっても許せるのではないでしょうか。
関係ないですが、世界で初めて作られたMVはQUEENのボヘンミアン・ラプソディーだという説があります。
QUEENというのは楽曲は耳なじみが良く大衆的でありながらも、バンドとしては色々と実験的なことや個性的なことをやって来たグループだと思います。
音楽も、ロックバンドなのにポップスよりだったりメタルよりだったりオペラを取り入れたり讃美歌的だったりと色々なことをやって音楽というジャンルの壁を飛び越えたグループだったと思います。
だからストーリーは普遍的でわかりやすいものでありつつも、既存の映画という枠を飛び越えたMVだったと言われても納得します。
ちなみに映画のラスト『DON'T STOP ME NOW』が流れた後に最後に流れる曲のタイトルは『The Show Must Go on』という曲です。
この曲はフレディが死ぬ前に出した最後のQUEENのアルバム『INNUENDO』のラストに収録されている曲です。
この曲はブライアンが作ったのですが、この曲ができた頃にはフレディはもう既に病気が進んでいて、歌うのは無理だろうと思われていたのだそうです。
でもこのデモテープをフレディに聞かせたところ フレディは'I'll fucking do it, darling'と答えたのだとか。
ネイティブではないので、英語のニュアンスは正しくは分かりませんが「ファッキン・ドゥーイット」ですよ。病人なのに。やる気が伝わってくるではありませんか。
この曲のサビの歌詞はこうです。
“ショウは終わらせられない
終わらせるわけにはいかない
こころが壊れても メイクが剥がれても
最後まで笑顔で演じるんだ”
そう、この映画はまさにショーであり、みんなを笑顔にさせるエンターテインメントなんです!
フレディは最高のエンターテイナーでした。きっと生きていたら、闇を抱えた悲劇的な人物として同情を集めるよりは、皆を笑顔にさせるショーマンであり続けたいと思ったんじゃないでしょうか。
若い世代や子供にも、QUEENやQUEENの曲の良さが伝わったんです。
それだけで十分映画として成功なのではないでしょうか。
評論家を唸らせる映画も素晴らしいですが、小学二年生が見ても素直に泣けて楽しめる映画って素晴らしいじゃないですか。
多分この子供が五年か十年経った後に、ふとまた『ボヘミアン・ラプソディ』を見てみたなら、その時にはまた小二の頃とは違った感想を抱くはずです。
そして背後にある沢山のストーリーや人の生き方や問題を知って、より一層楽しめるはずです。
それを考えただけで……なんて素晴らしい映画なんだ~!!
皆さんも、大人も子供も楽しめるこの素晴らしいショーを楽しみましょうよ! ショーは続くんだよ! ファッキン!! don't stop it now!!
……というわけで、この映画を見てからというもの、私は映画のパンフレットやサントラ、CDにライブDVD、QUEENが特集されている雑誌や書籍にグッズまで色々と買いあさっています。応援上演も六回行きました。
YouTubeでQUEENの動画も毎日流しています。部屋の中でも、車の中でも、移動中の電車の中でもQUEENの曲を聞いています。
ギターのブライアンやドラムのロジャーの投稿を見るためにInstagramのアカウントも作りました。もう頭の中がQUEENで一杯。私の頭の中はQUEEN一色と言っていいでしょう。
本を読んでいても、家事をしていても、テレビを見ていても、気が付いたら頭の中でQUEENの楽曲が流れています。
でも好きだから仕方ない。やめられないんです。もはや麻薬!
……でもこの麻薬、恐ろしいことに合法なんです!
あなたもこの素晴らしいQUEENとボラプの沼に落ちてみませんか?
※ところで、このエッセイを最初に書いたのは2019年ですが、恐ろしいことに2025年の今も私の中のQUEENブームはまだ続いております! ママ~どうなってんの!?
【おわり】
期待しないで見たボラプにハマりQUEEN沼にどハマりした話 深水えいな @einatu
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