こじんまりとした小さいお店の雰囲気と、マスターの人柄の良さが絶妙なリアリティを感じます。
ともすればお店に関する部分だけが切り取られそうなものですが、冬の北海道や「彼」との日常の描写を、解像度高く丁寧に描写しているからこそ、お店やマスターについてもそれと地続きで高い解像度を持ってイメージができるのだと思います。
そしてまた、登場する料理が美味しそうなことこの上ない。
ペペロンチーノとアラビアータという、パスタの中でもシンプルな部類の二品が登場しますが、だからこそ誤魔化しがきかない(そしてその美味しさを伝えるための語彙力・表現力が問われる)料理なんですよね。
それが、ついついフォカッチャが欲しくなるような臨場感満点の描写力で表現されており、実に食欲を掻き立てられます。
あぁー、頭の中でパスタをくるくるするフォークが止まりません。
これはいけません、永遠に続くフォークトルネードです。
美味しいパスタを食べるまで止まりそうにありません。
それだけに飽き足らず、食後のデザートまで完備。
そしてここにマスターの優しさが光ります。
優しさというか、商売上手とも言えますが、これがまた「個人経営の小さいお店ならでは」な雰囲気がしてたまらないんですよねぇ。
きっと「好き」が高じてお店をやっているんだろうなぁというのが、ひしひしと伝わってきます。
読めばきっとパスタが食べたくなること間違いなしの本作、是非ともお腹を空かせながら読んでみてください。
そして、読了後はイタリアンで決まり!