第38話 死んでください
「で、結局、追中からの告白をやめさせればいいんだな」
「はい」
したらば、と僕は答える。
「そうだな、だとすると、パッと思いつく方法は二つ。追中に告白できないと思わせるか、告白する気を失わせるか」
「それって、違うんですか?」
「あぁ、全然違う。前者は、告白しても成功する確率がゼロだと思わせる方法だ。たとえば、彼氏が既にいる、と嘘をつくのはこちらの方法だな」
「はぁ」
「具体的には、こうだ」
僕は一拍置いてから告げる。
「同性愛者だと噂を流そう」
「却下です」
理解が及ばず真藤が小首を傾げる一方で、白殿が即座に反応した。
「何でだよ。今時、同性愛なんて珍しくもないだろ。男が恋愛対象にないとなれば、追中も諦めざるを得ない」
「いいわけないでしょ。同性愛というのは、とてもデリケートな問題なんです。そうやって適当に茶化していいものではありません」
「だからって、そんな
「不謹慎だと言っているんです。そもそも私は、マンガやドラマでおもしろおかしく取り扱うのも不謹慎だと思います」
「出たよ、
「意味がわかりません。とにかくダメです」
もう、こいつ、理解する気がないな。
「私も、その、別に女の子が好きなわけでは、ないから、ちょっと」
真藤の方からも不満があがったので、僕は仕方なく主張を取り下げる。
「じゃ、もう一つの方法だが」
「この分だと望み薄ですが」
白殿はとりあえず無視する。
「追中が告白する気を失くさせる方法。こちらば、当初の考え、追中が真藤のことを嫌うようにする、に近い」
僕は、自信を持って告げた。
「性病持ちだと噂を流そう」
「死んでください」
嫌悪感を前面に出す真藤の横で、白殿が絶対零度の瞳をこちらに向けていた。
「何でだよ。こいつはかなり有力な方法だぞ。男子なんてどうせエロいことしか考えていないんだ。その目的を潰してやれば、真藤と付き合いたいなんて思わないだろ」
「あなたは、どうしてそうデリカシーがないんですか? まず完全なセクハラです。それに嘘とはいえ性に関することを吐露するなんて、慎みに欠けます。恥を知りなさい」
「別に自ら口にしろなんて言ってない。香月にでも噂を流させればいいだろ。それにあくまで噂だ。追中以外には、きっぱりと否定すればいい」
「友人を
それはごもっともだけど。
と、そのとき、
「……だから、嫌なんです」
僕と白殿が、やいやいやっている中に、真藤の地を這うような声が響いた。
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