第49話氷の鋼鉄剣(アルマス)

上原家が動いているなら僕一人ではどうする事も出来ない。


だが、このまま放置も出来ない。


とりあえず、現時点で上原家を動かせるのは氷雪だけだ。


ここには日本中から氷系の能力者が集められている筈だ。


氷雪はまだここにいるかも知れない。


この地下警察署のどこに居る?


地上の警察署と違って構造が複雑過ぎる。


案内掲示板で怪しい場所を手当たり次第に探すしか無さそうだ。


確か案内掲示板は正面玄関にあった筈だ。


……正面まで行って、ここまで戻るとなると警備員に声をかけられる。


正面は厳重で警備を潜り抜けるのは難しい。


ここの部屋はかなり奥で、警備は手薄だ。ここから探すしか無いな。


僕は部屋の扉を開け、氷雪を探す。


右側は警備員が二人、左側は誰も居ない。


まずは左側から探そう。




「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


「止めろ、止めてくれ、嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」




(叫び声?)




叫び声何だろうが……断末魔の叫びの様にも聞こえる。


その声を聞いていると自然と震えてくる。


だが、地下警察署にこんな叫びが聞こえてくるなんて……


僕は断末魔の叫びが聞こえる方に吸い寄せられる様に足を進める。


ここは……


大きな広間だ。


物は何もなく、扉は僕の正面に一つだけだ。


壁は鉄格子で、唯一ある扉は鉄扉だ。


刑務所なのか?




(扉が開く)




鉄扉は重々しくゆっくりと開いていく。


誰か出てくる。


隠れる場所は一つしかない。


僕は柱に身を潜める。




(あれは……氷雪)




何でこんな所に?


断末魔がする様な場所に出入りしているんだ。




「氷雪……こんな所で何をやっているんだ?」




僕は柱から出て氷雪の目の前に立つ。


上原家からもう僕は逃げない。そして氷雪……お前を越える。


氷雪は少し驚いた様子で僕を見つめる。




「紫音か……久しいな」


「氷雪、昔話をしに来たんじゃあ無い」


「……だろうな。こんな場所まで来てそんな話をされたら興醒めだ」


「ここで何をしている?」


「お前の口振りからして、ここが何の機関か理解していない様だな」


「答えろ。ここは何なんだ」


「……良いだろう。教えてやる。ここは……日本のエネルギー源を作っている場所だ」


「エネルギー源?」


「……分からないのか?原子力、発電所、風力発電、ダム等は地上にあるのか?」




……無い。


何故気づかなかった。


知ろうともしなかった。


エネルギー源って




「ここのエネルギー源は?」


「……人間だ。」


「は?」


「能力、魔力、生命エネルギーを奪い取ってエネルギー源を獲得している」


「そんな事したら……」


「死ぬな」


「……そんな事許される訳無いだろう」


「ここに居るのは死刑、終身刑の者と……上が決めた人間だけだ」


「ふざけるな」




僕は氷神の花畑(コールド・ガーデン)を発動させる。


氷雪の足元に僕は氷の薔薇を造り上げる。


氷雪は動かない。


……氷雪の腰に剣?




「この軽度か?」




氷雪は剣を取り、僕の氷を簡単に破壊した。




(あの剣は……氷の綱鉄剣(アルマス)!!)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る