12.空に浮かぶ島

 コロも、スイセイから聞き出した情報で空にあるということは知っていたが、それが動いているのは全く思いもしなかった。

「つまり、お前を呼んだのも無駄足だったのか?」

 ヤマメが眉間を揉みながら不機嫌に言う。

「いいえ、海上しか移動しないのですから、決して無駄ではありませんよ。」

 サトムが背を伸ばして言う。

「じゃあ、シスイに頼んでみるか。ボクも空を飛んで探しては見るけど」


 そう言って、ヤマメが玄関から飛び立とうとすると、マルーリが目を開いた。すかさずガロウが近くによる。

「いや、ライトビの方々に聞きに行ってください。あの方々、元は天気を操っていたのです。島があることで気流が変わることだってあったはず。おそらく今でもとっていますよ」

「あいつらが教えてくれるのか?」

「わかりませんけど、おそらく力は貸してくれるんじゃないでしょうか」

 体を一ミリも動かさないが、その代わりはっきりとマルーリは話した。

「ふう、そろそろ寝室に連れて行ってくれないか。私はもう休む。」

 ガロウが一歩引くとすぐにコロが駆け付け、マルーリを担ぎ上げた。

 マルーリの体重は大体、でっぷりと育った巨大なリクガメと同じかそれ以上であるが、エバーワールダーからすると、軽いものである。


上の階にある寝室に綺麗に寝かせておく。部屋の外からはヤマメが飛び立っていたり、いつの間にやらベイズが手すりから消えていたり、サトムが

「やはり、あの少年はライ族なのですね」

 とガロウに尋ね。

「だな」

 と短い肯定を返された。





 ヤマメはライトビの里方面へ向かった。各地の風向きを地図の上に示したデータをそのままそっくり、ある場所から元素魔法で分解し、再構成することで持ち出そうとしていた。

 ヤマメのうなじにしがみついているベイズは、そのヤマメの考えを悟って、言った。

「それ、泥棒ですよ」

「もとはボクの土地だ。何をしたって問題ないね。」

 ベイズの率直な意見には耳を傾けることはせず、ヤマメはライトビの建物に手をかざした。

 後、二人は何ごともなく平気な顔で戻ってくるので、何をしたのか少しも気に留められることはなかった。




「エバーワールドってまだあと1つ大陸があるんだね」

 屋敷に持ち帰った、ライトビの天気操作用のデータに目を通しながらヤマメがつぶやいた。

「すでに見つかってるのは、海世のある双子谷大陸、英世のある、交差脈大陸。それと、グリマラの南に位置する、黒大陸。今はかなり離れてるけど、大昔、ボクがもっと小さかったころは双子谷大陸とかもっと近かったよ。」

 今の言葉でヤマメの年齢が万越えであることが判明した。そのことに恐らく目を丸くするであろう、マルーリは現在冬眠中なので誰も年齢に対しては反応しなかった。

「で、位置は特定できそうか」

「周期があるみたいだから何とか。」

 話す場を玄関ホールから変えて、広間に移動していた。ヤマメは広間の空間にいくつもの、季節ごと、月ごとの風向きのデータを並べた。

「今日のがこれ。昨日のがこれ。動きとしては西から東にゆっくりと一年かけて移動してる。これくらいなら星みていれば気づくと思うんだけど。」

 小さな瞳の円周にそって目を細めさせてイツツデに冷視線を向ける。

「【どこかにある場所】にお前のマーク描いてないの?」

「描いとるぞ」

「じゃあ、さっさと帰っててよ。それさっさと燃やしたいんだから。」

 マルーリが描いた紅葉を指さして言う。

「冷たいのお、ヤマメちゃんは」

「しつこい。さっさと戻ってろ!ボクはあんたと一緒に行くつもりはないんだから!!」

 眉を八の字にして、口元をぎゅっと結ぶ。

一呼吸。イツツデは手を振ってから後ろに倒れて消えた。

「はあ、全く面倒なやつ。」

 また腕を組み換える。

「で、コロ。出発する?」

 コロは息をのんで、

「ぜひ!!」

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