第13話 魔力なし 2
何をどう話し合っても、肝心の魔力なしが居ないのでは調べることも出来ないと、会議は魔力なしを見つ保護することを周知するで終わった。
「今回の事で、レア嬢ちゃんの貸し出しを、ルシ坊に言わんとな」
カウルじいさんは、自分が生まれる前の魔族との戦いを詳しく知らなかったが、魔力なしは何度か見ている。
じいさん自身、どうも思わなかったがシスターからは魔力なしは、治療出来る可能性があると言うなら、確認した方が良いとは思う。
ただ瘴気がどんなものか、よく分からない。
「カウル、話したいことがある。この後暇か?」
鍛治ギルド長の、ドワーフのフルガが声をかけてくる。
サリカザサイの角を渡していたから、何か進展があったのかと思うカウルじいさんだった。
「大丈夫じゃ。時間はある。渡した角かのぅ?」
「そっちは、まだやり始めた所だ。どうなるか分かるのはまだまだ先だな」
角は、なかなか面白い素材らしい。
鍛治に詳しくないカウルじいさんに、フルガが期待しとけと告げた。
そうなるとフルガの用は、別件らしい。このまま鍛治ギルドとなると、遠くじいさんの足ではキツイので、商業ギルド長室まで来て貰うことにした。
「ドワーフは、長命種族と聞くが、フルガは魔族をどれだけ知っとるんじゃ」
カウルじいさんよりも、ドワーフのフルガはかなり年上だった筈だ。年齢は知らないが、じいさんが青年だった頃にすでに鍛治ギルド長だった。
「俺は、戦いが終わった後生まれだ。たいして知らん」
「残念じゃ。当時を、知る者の話は聞きたかったのぅ」
ドワーフは、平均500年ほど生きる長命種族だ。人族が、150年ほどと短い。
「まだ在命してる者なら、ドワーフの里にいる筈だ」
当時の話が知りたければ、ドワーフの歴史の書物でも取り寄せる事も出来る。
「魔族は分からんが、瘴気に取り憑かれた者なら見た記憶がある」
フルガが言うには、瘴気と言っても種類があると言う。
元になった魔族の種類によって、瘴気の効果が違うらしい。
「困ったもんじゃ。いつ来るかも分からないとなるとのぅ」
フルガと、たわいもないやりとりをしながら商業ギルドに戻ったカウルじいさんだった。
ギルド長室に入ってフルガがまずしたのは、人払いの結界張りで、よほど第三者に聞かれたくない話のようだった。
「これから話すことは、なるべく人に言わないでくれ」
「察するに、魔力なしかのぅ?」
先程の集まりから、それしか思い浮かばない。
「そうだ。人族は、魔力なしを排斥する傾向が強い。あのシスターが、治療出来るかもしれないとは言ったが、本当に信用出来るかも分からん」
治療出来たとしても、排斥されていた者を簡単に受け入れるとなると難しい所だろう。
「ドワーフは里を含め、人種関係なく何人もの魔力なしを保護している。生まれた後の、ステータスでは異常がなかった者が、後に魔力なしとなった原因を知る為密かに保護をしていた」
全ての者を、保護できないがドワーフが見つけた者は種族関係なく保護した。
フルガが言うには、昔からドワーフの魔力なしはそこそこ居た。
人よりも、ドワーフの魔力なしが意外にも多い。
魔族が石のように、砕け散り死ぬのは知っていたが、その後に魔力なしとなる原因が本当ならば、納得出来てしまった。
ドワーフは鍛治師に、関わる事の多い種族だ。
あらゆる鉱石を扱うし、触れる量も多い。
見た目普通の石にしか見えない魔族のカケラを、知らず触っていたとしても、あり得ると思うのだ。
「レア嬢ちゃんじゃな。鑑定して欲しいんじゃろ?」
サリカザサイとエファラグアの鑑定結果は、確定するまでまだまだ先だが、糸蜘蛛に付いていたダニとか言う魔蟲の対処方法を、やって見せたのだ。
レアは、かなりの鑑定能力持ちと言えた。
「そうだ。本当に高位の鑑定スキル持ちだと言うなら、俺達が分からなかった所まで鑑定で分かるかもしれないと考えた」
通常鑑定スキルは、持つ者の中でも鑑定出来る物に寄って、得意か不得意が分かれてしまうスキルだ。
植物系は得意でも、アイテムになると曖昧になったりと、個人の才能により大きく変わる。
ただでさえ、鑑定スキル持ちは少ない。
見る者により鑑定結果が違うせいもあって、鑑定スキルが信用出来る者の鑑定料となるとかなり高額にもなる。
お伽話にある、召喚された異世界からの転移者や、異世界からの転生者が鑑定スキルを持つ場合は違うらしいが、見た事がないのでどう違うか不明だ。
「高位鑑定スキル持ちは、ワシでもはるか昔に見た記憶がある程度じゃ。簡単に見つかるとも思えんし、現在居たとしても王城か貴族のお抱え状態じゃろうな。ルシ坊に話を通して、レア嬢ちゃんを借りるしかなかろう」
行動するなら早い方が良いと、フルガに結界の解除をさせる。
カウルじいさんがしたことは、ギルド員にルシアスをここに来るよう呼ぶことだった。
「ギルド長、工房会議が別館で行われているので、呼ぶにしても時間がかかるかと」
定期的に行われる会議だが、会議するほどのことがあったかと考える。
「仕方あるまい。今この町は、新たなダンジョン発生から冒険者の増加、移民の増加、テイマーへの対処、それに伴う様々な問題が浮上している。工房の連中も、そう言った問題対処の話し合いだろう」
フルガの鍛治ギルドでも、様々な問題がおきているのだ。そんな時期に魔力なしのことまでしなければならないとなると、かなり大変だ。
「そうじゃな。ルシ坊と連絡が取れ次第こっちに来て貰うことにするかのぅ」
フルガにも、時間調整して鍛治ギルドに連絡すると決める。
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とりあえず説明
◎魔族のカケラ
魔族が死ぬと、石の様になり砕け散る。
砕けた後は、浄化しないと一定期間を過ぎた後に、魔力を持つ者がカケラに触ると魔力を取られ続ける。
普通の石にしか見えないので、どこで触ったかも発見されずらい。
聖職者が、地味に土地浄化をして対処するくらい。
◎魔力なし
魔力を、カケラに取られる状態が呪いになるが上位鑑定スキル持ちにしか、確認出来ない。
解呪は簡単に出来るが、見た目魔力なし状態と誤解されやすい。
カケラに魔力を取られると、魔法を全く使えない。
◎瘴気
魔族のカケラが、一定の魔力を吸い取った後に病に感染させる様に、瘴気を発生し感染させる。
瘴気は、元になった魔族の種類により効果が違う。
浄化は出来るが、感染力が強い。
放って置くと、魔界と繋がるとも言われているが、過去に瘴気に侵された国は、滅びてしまっている為はっきりした事は不明。
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