第5話 香りのプレゼント

帰り道で見つけたよ と

金木犀きんもくせいのひと枝を

私にそっと手渡したあなた


もう一度

優しい声を聞きたくて

聞こえないふりをした


この香りを

君にも分けてあげたくて と

ちょっぴりはにかんだ夫


見慣れた小さな花だけけど

あなたの優しさが嬉しくて

私の胸はときめいた


心がそっと私に

寄り添ってくれるようで

幸せで一杯になった


金木犀きんもくせいの小さな花は

今も甘い香りを

私の中で放っている

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