がんばる

[佐藤悠基&石川実里&清水柊&伊藤薫子]

「で?君たちはすっかり忘れていた、と」

『はい……』

「だから?教えて欲しい、と」

『はい……』

「しょうがないな……」

『ありがとうございます……』


僕と実里さんは完全に忘れていた……

冬休み前テストの存在を……


気づいたのは土曜日の親睦会の次の日。

日曜日の夕方頃に文芸部グループでクリスマスパーティーについて話し合っていた時のことだ。

「そう言えば、冬休み前テストは大丈夫なの?」

「私は、大丈夫です」

「あれ?悠と実里から反応がないけど」

「ナンノコトカワカリマセン」

「ワタシモ」

「あらら……」

「先輩……」

と、まぁこんな感じで……

そして今に至る。


「で?何がわからないの?」

「僕は数学……」

「私も数学が……」

「あたしも数学あんまり得意じゃないんだけどな……」

「そこをなんとか薫子さん!」

「よろしくお願いします薫子ちゃん!」

「はぁ……まぁいいけど……」

『ありがとうございます!』

「柊ごめんね?柊も自分の勉強してていいからね」

「はい……勉強、させてもらいます……」

「柊さんごめん……」

「柊ちゃんごめんね……」

「じゃあ、はじめるよ」

『よろしくお願いします!』


「とりあえず、ここの公式はわかるよね?」

「分かります」

「分かります」

「2人とも、ちゃんとノートとってるし先生の話聞いてるよね?」

「うん、聞いてた」

「う、うん、聞いてたよ?」

「となると、足りなかったのは復習か……」

『すいません……』

「まずは、この適当に選んだ5問を解いてみて?」

『分かりました!』


[伊藤薫子]

あたしだって、最近勉強が手につかないんだから……

色々ありすぎなのよほんとに……

日頃の積み重ねのおかげね……

生徒会に入っててよかった……


[佐藤悠基]

む……ちょっとこの問題は難しいぞ……

でも、頑張ってみせる!

薫子は昔から頭が良くてお世話になっていた。

授業を聞いていないわけじゃない。

家に帰るとずっと本を読んでいたから……。

反省、してるんですけどね……

なおらないんです……

薫子にはいつかお礼をしなきゃな。


[石川実里]

いや、違うの。

ほんとに。

違うの。

私は頭が悪い方ではない。

……良い方でもないけど。

真ん中より少し上くらい。

でも……

だって、ねぇ……?

すき……じゃん?

ライバル……じゃん?

負けられない……じゃん。

勉強……知らないもん。

ノートは書いていた。

でも、先生の話は聞いてなかった。

恋は人を変えるって本当だね……

学業もちゃんとしなきゃね……


[清水柊]

先輩達って、勉強、出来る人だと思ったけど……

い、いや、これは失礼な言い方だね……ごめんなさい……

でも、すこし……ちょっと……ほんのちょっと……イメージ、変わっちゃったかも……

し、失礼な言い方だね!ごめんなさい!

私も自分の勉強、頑張らなきゃ!


[佐藤悠基&石川実里&清水柊&伊藤薫子]

『解けました~』

「どれどれ~?」

「がん、ばった」

「多分大丈夫なはず……」

「ん、実里は完璧だね。あたしが教える必要ないんじゃないかな?」

「よかったぁ……不安だったけど少し自信がついたかも!」

「問題は……」

「うっ……」

「2問しか正解してないけど……」

「すいません……」

「実里も教える側にまわってもらってもいい?」

「うん、大丈夫だよ」

「本当に申し訳ない……」

「先輩、頑張ってください……!」

「ありがとう柊さん……」

「よし、じゃあ基礎からだね」


[佐藤悠基]

教えてもらうことには何も問題はなかった。

うん、なかったはず。

勉強できない僕が悪いのだから、本当にありがたい。

でも……

実里さん……近い……!

薫子は僕の対面の席に座ってる。

でも、実里さんは僕の隣だ。

特に回答を覗き込む時がすごく近い……

なんかいい匂いするし……

耳に髪の毛かける仕草とかなんかなんかもう……

べ、勉強に集中集中……


[伊藤薫子]

あざとい……

あざといよ実里……

悠、バレてるからね。

鼻の下伸ばしてるの、分かってるんだから……!

許さないからね。


[石川実里]

しっかり悠基くんに勉強教えなきゃ……!


[佐藤悠基&石川実里&清水柊&伊藤薫子]

「あ、下校のチャイム鳴った」

「悠基くん、お疲れ様」

「はぁぁぁ……実里さん、薫子、本当にありがとう」

「お疲れ様、ある程度解けるようになったし、多分大丈夫だね」

「お疲れ様~テスト、きっと大丈夫だよ!」

「2人とも、本当にありがとう……!」

「先輩、お疲れ様です……テストも、頑張ってください……!」

「うん、柊さんもありがとう!僕、頑張るよ!あ、いつかお礼、させてね?」

「ん、じゃああたしは猫カフェ奢りで~」

「私は、別にお礼とかは大丈夫だよ?」

「いやいや、教えて貰ったからにはお礼しないとね?次にみんなで出かける時にお昼ご飯くらい奢らせて?」

「申し訳ないけど……お言葉に甘えちゃおうかな?」

「うん、とりあえず今は目の前のテストに集中するよ」

「頑張れ~」

「頑張って!」

「頑張ってください……!」

「頑張るよ!」

「……まぁ、テスト、悠だけじゃなくてあたし達も頑張らなきゃだけどね」

「た、確かに……」

「そうですね……」

「テストが終わったらクリスマスパーティーだ!」

「いぇい!」

「やったー!」

「楽しみです……!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る