こくはく

[佐藤悠基&石川実里]

「映画、すごい良かったねっ!」

「そうだね、特にあの時のあれなんて……」


映画は僕達の予想以上の面白さで。

上映が終わってすぐに感想を語りたいと思っていたのはお互い様だった。


「歩きながら話すのも良くないから昼ごはん食べながら話さない?」

「そうだねっ!話したいこといっぱいあるからそっちの方がいいかも」

「それじゃあ……昼ごはんの後って、どんな予定?」

「うーん、一応ウィンドウショッピング?かな……」

「なら……デパートの中のフードコートがいいかな?」

「それがいいかも!」

「わかった、じゃあ、デパートに向かおうか」

「うんっ!いこういこう!」


[佐藤悠基]

石川さん、テンション高いなぁ……

静かなイメージがあったから少し意外。

映画、確かに楽しかったからテンション上がるのもわかるかも。

……にぎやかな石川さんもいいかもな……

って何を考えて……


[石川実里]

映画、予想以上に楽しかった。

けど……正直内容は半分くらいしか頭に入ってない。

なぜなら……まぁ……

佐藤くんの、横顔、見てた、からで……

多分!バレてない!はず!

だって……見ちゃうよそりゃあ……

本を読んでるふりをしながら佐藤くんの横顔見てたんだよ?

映画中でも見ちゃうよ……

って自分で何を言って……

横顔見てたのバレないようにテンション上げて喋ってたけど引かれてないよね……?


[佐藤悠基&石川実里]

そして僕達はフードコートで約1時間程度、映画の感想を語り合った。

気づいたら、14時になっていた。


「そろそろ買い物、行く?」

「そうね、ちょうどいいかも」

「よし、行こうか」

「うん!」


僕達はウィンドウショッピングを楽しんだ。

お互い、特に欲しいものがなかったから、雑貨屋さんで小物を見たり、服屋をちらっと覗くなどだったが、親睦会としては良い時間を過ごせたと思う。


「あ、本屋……」

「佐藤くん、なんか欲しい本あるの?」

「いや、特に欲しい本があるわけじゃないけど……少し寄ってもいい?」

「おっけー、私も寄りたかったの」

「……この本、確か前に石川さん読んでたよね?」

「うん、確か……恋愛がテーマの本だったはず」

「んーー恋愛、か……僕には無縁のものだからこの本は合わないかな……」

「っ!」

「この作者さんで他の本は、っと……」

「と、突然聞くのも失礼かもしれないんだけど……」

「ん?」

「佐藤、くん、って、好きな人とか……いるの?」

「うーーん……僕には無縁だからね……いないしそういう経験もないよ?」

「そっ……か……」

「それが、どうかしたの?」

「い、いや?こ、こっちの、話……」

「そう……?」


[石川実里]

そっ……か……

って私何サラッと聞いてるの!?!?

変な風に思われないっぽいからいいけど……

恋愛に興味がない、か……

好きな人がいないのは見ていてわかっていた。

……ごめん佐藤くんに失礼な事言ったね……


なら私は……

どうすればいいんだろうか……

恋愛に興味がないなら……

私のことを好きになってくれないということ?

私が告白しても、成功する確率が少ないことになる。

……一方的な好きじゃ、だめか……


[佐藤悠基]

恋愛、か……

僕にはわからない。

人を好きになる、とか、付き合う、とか。

いいな、気になるな、って思ったらそれは好き、なのだろうか?

わからない。



[佐藤悠基&石川実里]

本屋を出た。

時計を見たらもう17時を回っている

気づいたら3時間もウィンドウショッピングをしていたらしい。

「石川さん、もう17時だけど、このあとの予定は?」

「特にないかな。解散って感じ」

「そっか、じゃあ駅に向かえばいい?」

「うん、そうだね」

「よし、行こう」


[佐藤悠基]

誰かと遊ぶって楽しいものなんだな、とふと思った。

僕だって、書いたい本を悩む時は時間を忘れるが、2.3時間はさすがになかったから。

緊張も初めだけで、今はもう、名残惜しいと感じる。

親睦会、よかったな……

今日は清水さんがいなかったけど、次はもっといい親睦会ができそうだ。


[石川実里]

少しは佐藤くんとの距離を縮められただろうか。

隣で本を読むその距離は近かった。

でも、心の距離はすごい遠かったから。

隣にいる距離は、今も変わっていない。

縮まってたらいいなぁ……

今はただ、そう思うしかなかった。


[佐藤悠基&石川実里]

「駅、着いたね」

「そうだね」

「次は清水さんも一緒に親睦会、できたらいいなぁ」

「うん、今日、楽しかったから清水さんがいたらもっと楽しいだろうね」

「石川さん、今日は本当にありがとうね」

「こちらこそ、来てくれてありがとうっ!」

「じゃあ、また、学校で」

「うん、またね!」


[佐藤悠基]

楽しかったけど、疲れたな……

今日はすぐに寝ちゃいそうだ。

早く帰ろう……

「ねぇ」

「…………」

「ねぇ」

「…………」

「ねぇったら!」

「……え?僕?」

「あんた以外、誰がいるのよ」

「って、薫子かおるこか」

「久々に話しかけてあげたのにその態度は何よ」

「いや、別に……」

「ちょっと付き合いなさいよ」

「は、はぁ……」


[石川実里]

……あれ?

佐藤くんが知らない女の子と一緒に歩いている……?

……え?

私はこっそり後ろからついて行くことにした。


[佐藤悠基&薫子]

「あんた、何も変わってないわね」

「そりゃあ、変わる必要がなかったから……」

「ま、別にいいんだけど」

「はぁ……」

「そう言えば、文芸部に新入部員が2人入ったらしいじゃない」

「なんで知って……って、生徒会か……」

「しかもどちらとも女の子らしいじゃない」

「ま、まぁ……」

「今日デート来てたのはそのどっちか?」

「そうだけど……って、デートじゃないし!てか見てたのか!」

「偶然よ。見たくて見たわけじゃない」

「だろうな……」

「んで?その子のこと、好きなの?」

「なっ、ちがっ、ただの親睦会だからっ!好きとかそういうのないからっ!」

「あっ、そ。」

「なんなんだよもう」

「別にー。ただこのタイミングしかないなーってね」

「何が?」

「あたし、あんたのこと、好きなんだけど」


[佐藤悠基&石川実里]

『……え?』

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