とうこう

[佐藤悠基]

今日も変わらない朝。

6時に起きて、顔を洗って、朝ごはんを食べて。

8時前には家を出る。

そう、いつもと変わらない朝だ。

この妙にそわそわする気持ち以外は……。

懸念点としては3つ。

1つ目は、投稿中に偶然会ってしまうこと。

いやむしろ嬉しいところまである……って朝から何を考えてるんだ僕は!! 自分を殴りたい気持ちを抑えながら電車に乗った。

もし偶然会ったとして、2人で歩いてたら変に噂にされて、石川さんに迷惑をかけるかもしれない……。

だからって、会った瞬間さよならは失礼すぎる……。

なんだかんだであたふたして互いに無言のまま登校しそうだな……。

勇気のない僕をまた自分で殴りそうだった。

2つ目は、学校でばったり会ってしまうこと。

同じクラスではないからこそ、廊下で偶然会った時の対処法……これは言葉が悪いな、ごめん石川さん……。

偶然会った時の危機回避法がわからない。

会釈だけでいいのか、なにか話すべきなのか、そもそも気にしなくていいのか……最後の選択肢はないな、嫌われたくないし……ってまた僕は朝から何を……。

3つ目は、放課後、部活の時間だ。

なんか気まずい雰囲気流れそうな予感しかないよ……。

話始めればきっと昨日みたいに盛り上がる、気がする。

気がするだけ……。

昨日の話も途中で終わったし、なんとかなるって信じよう!うん!!どうせ話すなら文芸部の部室も紹介しよう!!うん!!……ごめんなさい、うるさいのは僕の頭の中だけなので許してください……。

そんなこんなで、気づいたら学校に着いていた。

どうやら登校中に偶然会ってしまう問題は解決できたらしい、いや、登校中ずっと俯いてたから気づかなかっただけかもしれないけど……。

僕はそのまま自分の教室に行き、授業の準備を始めた。


[石川実里]

今日も変わらない朝……なわけがない!

あわわわわ、特に寝坊したわけでもなくいつもと同じ時間に起きたのに慌てて顔を洗いに行った。

佐藤くんにかわいく見られたい……!昨日の夜、LANEしている最中にそう思ったのだ。女の子なら誰だって好きな人には可愛く見られたいのは当たり前……だよね?急にイメチェンすると変に見られちゃうから普段の身支度を少し丁寧にするだけでいいはず……!

いつもはちゃちゃっと5分で済ませている事を今日はたっぷり15分かけた。

朝ごはんをしっかり食べてから家を出た。何だかいい気分。恋をすると世界が明るくなるって言うけどこの事なのかな……ずっと前から一目惚れしてるけどね!!駅に着いて電車に乗った。今日も普段と変わらない混み具合。いつもは混んでる所があまり得意じゃないから嫌な気分になっていたけど、今日は全然嫌な気分にならなかった。

考え事が沢山あったからだ。

学校でばったり会っちゃったらどうしよう〜だとか、むしろ登校中に会っちゃうかも〜だとか、部活楽しみだな〜だとか。

変ににやけちゃってたかもしれない……、今が冬でよかった……マフラー様様だよ……。

ぼーっと幸せなことを考えてたら降りる駅に着いていた。

私は慌てて電車から降りた。

改札を過ぎた後、自然と私は周りを見てしまう。

佐藤くんいないかな〜……とまあこんな感じで。

すると、駅の出口の方に佐藤くんらしき人物を見つけた。

私はすぐに話しかけよう! おはようって言おう! とは思わなかった。

そんなこと出来たら昨日の沈黙なんだったのってなるからね……。

私は彼の少し後ろからこっそり登校しようと思い、少しだけ彼に近づいた。

遠くからは見えにくかったが近くから見るとどうやら彼は悩んだ顔をしているらしい……。

話しかけなくて正解だったな、と思い、少しそわそわした気分で登校した。


[佐藤悠基]

結局、学校では会わなかったな……。

少し寂しかったかも……って僕は石和さんのこと考えすぎなのでは!!??なんか変だな僕……しっかりしなきゃ、そろそろ石川さんが来る時間だろ……。

何度も頭の中で練習したことを言うだけだ。

文芸部の部室を紹介します、文芸部の部室を紹介します、文芸部の……


[石川実里]

廊下で佐藤くんに会えないとかこの学校こんなに広かったったけ……?1回くらい会えると思ってたから少し悲しい気持ちだった。

でも、もう大丈夫。今放課後、佐藤くんに会える、やったね!……いや大丈夫だけど大丈夫じゃなくない!?また昨日みたいに沈黙が続いたらどうしよう!?うーん……文芸部の活動は本読むだけだからきっと……って話したいのにぃ〜。


[佐藤悠基&石川実里]

ギィィ ドアの空いた音が聞こえた。

少し古いドアのため誰が入ってくるとすぐ分かる。

入ってきた人はすぐに分かった。

僕はすぐに読んでいた本に目を落とした。

彼女は僕の隣にずっと座った。

僕は心の中で深呼吸し、口を開いた。

「こ、こんにちは、石川さん。」

「あっ、こんにちは、佐藤くん。」

「あの……ですね、石川さんが部活に入ってくれたので、一応、部室を紹介しようと思いまして……。」

「えっ、部室……あるんですね、知らなかったです。ぜひお願いします!」

「で、では、こちらです。」

そして僕達は図書室を出た。


[佐藤悠基]

よし、噛まずに言えたぁ……。

話しかけるのはすごく緊張したけどよかったぁ。

部室はちゃんと掃除しといたし大丈夫なはず!


[佐藤悠基&石川実里]

「ここが文芸部の部室なんですね……。」

「そうですね、少し狭いですけど……。席、どうぞ。」

その時、トントンっ、と音が聞こえた

「……?どうぞ……。」

「あ、あのっ!私も文芸部に入れてください!」

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