流れる 5

 姉さんが番頭を解雇すると言ったが、親分がなぜか首を縦に振らない。仕方なく二人の間に入ってなだめ役を買って出て、結局番頭を追い出したという女房の調査を引き受ける。

 古い貸し付けの書類を見たが、あのスナックの借主は番頭になっていて女房は保証人でもない。立ち退きを求めても回収額はほとんどない。番頭はほとんど金をすべて女房に渡していたようで資産も貯金もない。とは言え貸金業者が指をくわえている訳にはいかない。どうもスナックの2階には新しい男が住んでいるようだった。

「親分」

 事務所に帰ってきて帰り支度をしている親分に声をかける。

「回収は見込みないですが、スナックの追い出しはしますか?」

「そやろなあ。これは娘には内緒やで。あのママはな、昔ミナミでグラブにいたんや。昔は女遊びをして彼奴のおかあちゃん泣かせてたんや。あの女に店持たせたんはわいや。番頭は身代わりになってなあ」

「姉さんはご存じで?」

「知らん。あの頃は女同士で駆け落ちしてた。それがあの女が金を引き出そうとして番頭に抱かれたんや。吸い付くようなワレメってあれを言ううんや。それに気づくのが遅かった。それで番頭にあの女を押し付けるようになった。実はあの女がわしの女房のところまで押しかけて来たわ。それで番頭に一緒になるのを許したんや。情けない話や」

「姉さんには回収不能と私が判断したことにします」

「悪いなあ」

「いえ、私は親分に拾ってもろたと思ってます」

「いや、イサムを拾ったのはサエやで。大事にせなあかん。わしがもう少し若かったら手出しとったやろうな。孫娘の様なサエにな」











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