糸口 2

 姉さんに頼んで兄貴の組の小頭を紹介してもらった。彼は女房に小料理屋をさせていて、姉さんから親分に話してもらって開店資金を借りていた。その集金は組事務所ではなく小料理屋に行く。それでその店に9時から会うとになっている。

 カウンターにすでに酒を飲んで座っている。女将は可愛い感じの年上で、小頭はやくざと言われないと分からない剽軽な顔をしている。

「これはちょっと貸付の関係なので内緒にしてもらいたいんです」

「貸付やってるのか?よろしく頼むわ」

「それで最近関東のやくざ来ましたね?」

「ああ、組長と会った」

「頼みごとをしたと聞いてます?」

「詳しいな。どうもな、やくざにその男をはねる依頼したようや。殺す気はなかったようや。怪我したところを身柄を押さえる気だったみたいや。それが戻ってきたときは姿がなくなっていたわけだ。そのやくざも詳しいわけを聞かされてなかったようで、戻って報告をしたら指を詰めろと言われたらしい」

 女房が酒を注いでくれる。

「これはちょろっと言いよったが、伊藤ちゅう奴が絡んでいるらしい」

 どこかで何度か聞いた名前だ。

「その伊藤は?」

「詳しないがな、貸金の世界では有名らしい」

 貸金、伊藤・・・。









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