五つの魔書の物語

長谷川由紀路

付録

魔法の定義

 【〇】、魔法には『剣の魔法』と『盾の魔法』がある。


 【一】、魔法は『呪文』と『儀式』により成立する。


 【二】、呪文とは、である。


 【三】、『剣の魔法』は、その呪文に対応するFGH急増加関数の順序数に関係なく、地中貫通爆弾バンカーバスターに近似する程度の威力である。


 【四】、『盾の魔法』は、その呪文に対応するFGH急増加関数の順序数に関係なく、怪我もしくは死亡するほどの相互作用について完全に防御する。


 【五】、『剣の魔法』と『盾の魔法』は、その呪文に対応するFGH急増加関数の順序数が同じであれば相殺される。


 【六】、『剣の魔法』は、その呪文に対応するFGH急増加関数の順序数に対して+1以上の『盾の魔法』を貫けない。


 【七】、『盾の魔法』は、その呪文に対応するFGH急増加関数の順序数に対して+1以上の『剣の魔法』を防げない。


 【八】、『剣の魔法』は、人の体液で呪文を記した紙を、剣に刺し、発火させ、その前後に、その剣を持つ者が、明確な攻撃意思を言葉にすることで成立する。


 【九】、『盾の魔法』は、人の体液で呪文を記した紙を、ある個体xに対して、完全に隠れてしまわない状態で張り付け、その紙を張り付けた者が、盾を含む言葉を発することで、ある個体xに対して成立する。その紙を剥がしたり、濡れるなどして文字が不明瞭になったりすると、盾の魔法は解除される。解除された場合、その紙でもう一度使うことはできない。


 【十】、呪文は魔文字で記さなければならない。魔文字とは、西暦の終末までに地球に存在する、すべての言語である。


 【十一】、呪文について、適用される計算ルールが複数あるときは、その内、最も上に記された計算ルールが適用される。※ 備考:巨大数大好きbotさんのご指摘により追加。


 【十二】、『剣の魔法』と『盾の魔法』は、例えば「n+1」の「n」が定義されていないなど、として無意味な文字列となると、不発となる。


 【十三】、『剣の魔法』と『盾の魔法』は、例えば「Ack(m,n) = Ack(m,Ack(m,n)) 」など、呪文の計算が停止しない場合は、暴発する。


 【十四】、隠された真の魔法が存在する。この魔法を、FGH急増加関数の順序数αに対応する呪文で使用した場合、それ以後、すべての魔法は、順序数αの有限個の和で到達できない最小の順序数β以上の順序数に対応する呪文でしか使用できない。

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