• マイページ
  • 小説を探す
  • ネクスト
  • 書籍化作品
KADOKAWA Group
  • ログイン
  • 新規登録(無料)
神話になり損なったありふれた暴力に纏わる物語

神話になり損なったありふれた暴力に纏わる物語

ピクルズジンジャー

おすすめレビュー

★で称える
★★★
★44
16人が評価しました
本文あり
日付が新しい順

本文ありのおすすめレビュー

  • 千鳥すいほ
    186件の
    レビューを投稿
    ★★★ Excellent!!!

    生き汚い人間たちへの賛歌

    物語の語り手は奴婢のツク。
    敗走し、隠れ里からも出奔した姫である妊婦のテラの世話をして日々を過ごしているシーンから物語は始まります。

    出来事はあらすじのとおりで、セルフレーティングもなるほどと思わされますが、この物語にはどこか心地よい乾いた手触りがあります。
    ツクの淡々とした視線、スサの生い立ち、スサの母の思惑。
    中でも力強いのは、テラの「生き汚なさ」でしょう。神話を再現するには身勝手で単純なテラは、しかし、非常に魅力的なキャラクターでした。

    乾いた手触りの奥に、人の血潮の熱が感じられる、壁画のような印象の作品です。
    人の手で再現された神話の結末を、どうぞ見届けてみてください。

    • 2018年12月19日 10:40