第88話
佑麻が目を覚ました時は、ドナはもう家に居なかった。
佑麻は、今日彼女が朝早くから家を出ていくことは聞いていた。ジョンの依頼でテレビ局GMAの『Eat Bulaga/イート・ブラガ』に出演することになっているのだ。
もちろん、自分の枕元でドナが夜を明かしていたことなど知るはずもない。彼は今日の飛行機で帰国する。ドナにどうしたらいいのか、どうして欲しいのか、考えがまとまらないまま今日がきてしまった。
ミミの用意してくれた朝食を取っていると、家の電話が鳴った。麻貴からの電話だった。
「佑麻、帰国するんだって!」
「そうだよ」
「いつ帰るの?」
「今日の便」
「えーっ!あたし聞いてないわよ。ほんとに自分勝手なんだから。私がなぜここに来たのか忘れたの?」
「じゃあ、一緒に帰るか?」
「今日の今日じゃ無理に決まっているでしょ。それに…、ジョンのおじいさんがうるさくて…。エンジェル・トーカー チャリティーのお世話でジョンの手伝いもあるし…。もう少しこっちにいるわ。みんなによろしくね」
「ああ…、ところで、今日、ジョンはどこに行ってるんだっけ?」
「確か、テレビの仕事で、ケソン・シティのお店だったと思うけど…。そうだ、ドナも一緒のはずね…。そう言えば帰国したあとドナとはどうするの?」
佑麻は何も答えなかった。
「ドナと何かあったの?」
「いや、べつに…。それじゃな!」
「ちょっと…!」
佑麻は麻貴のしつこい質問攻めにあう前に、電話を切った。
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