第63話

 マムが病室で目を覚ました。


 手を握っていたドナがそれに気づき、喜んで呼びかける。マムは、周りをゆっくりと見回して、自分の置かれた状況を思い出しているようだった。ドナは、早口に何が会ったのかを説明した。マムは、ソファに横になって寝ている佑麻を認め、口をゆっくり動かして話し始めた。


「うるさいよドナ、少しお黙り。天国でお前の父さんと久しぶりに会って楽しんでいたのに…。そこから無理やり連れ戻したのはあの男かい?」


 マムはあごで佑麻を指し示す。ドナはうなずいた。


「そうかい…。図々しく私の胸を触っている男がなんとなく記憶にあるが、それもあの男かい?」

「マム!」

「Sabi ko na nga ba salbahe ka eh.(やっぱり…。こいつが悪い男だとは分かっていたけどね…)」


 マムはそう言うと、また眼を閉じて眠りについた。

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