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結局、レイナはロムの料理の手伝いはせず、レーミュの家庭教師をする事になった。
「レイナお姉ちゃん、これは?」
「これはね・・・。」
教えてみると、意外と難しい学校の宿題だが、レイナは自分の知識で何とか教えることが出来た。
「・・・こんな宿題、何年振りかしら。」
「レイナお姉ちゃんの時も、宿題あったの?」
「ええ、あったわよ。こんな宿題。」
そう言って、レーミュが書き込んでいるノートを見る。
「どこに行っても、算数と理科と魔法は変わらないから、しっかり勉強しようね。」
「あー、学校の先生もそう言ってた!」
レーミュはにこやかに笑い、それにつられてレイナもほほ笑む。
「でも、私は運動が一番好き!」
「そうなんだ。私は苦手だったなぁ。どちらかと言えば、魔法の勉強が好きだったわ。」
「レイナお姉ちゃんの魔法、すごいもんね。」
「ふふっ、ありがと。」
そう言って、レーミュの頭を撫でるレイナ。レーミュは目を閉じて嬉しそうだ。
「二人とも、食事の準備が出来ましたよ。」
レーミュの部屋に二人を呼びに来たロム。
「レーミュ、行きましょうか。」
「うん!あとで遊んでね。」
「ええ、いいわよ。」
レイナがレーミュの頭を撫でながら、そのお願いを聞き入れた。
「じゃあ、食事にしましょう。」
「うん!」
レーミュが元気に部屋を出て、食堂へ向かう。その後をゆっくりとレイナがついて行った。
食堂では、ロムが食事の準備を整えていた。今日のメニューはレイナのリクエスト通り、肉のスープとパンだ。
「レーミュ、ちゃんと宿題はできましたか?」
「うん!終わったよ!」
「レイナ、お疲れ様です。」
「いいのよ。私も久しぶりだったし。」
レイナとレーミュが目を合わせてほほ笑む。
「それでは、いただきましょうか。」
ロムは食事を前に手を重ね、神に祈りをささげる。それを二人が真似する。
一通り儀式が終わった後、三人は食事を口に運ぶ。
「やっぱり、美味しいわね。ロムの料理は。」
「ありがとうございます。」
あっという間に平らげるレーミュ。そして、レイナをじっと見つめる。
早く食べて遊ぼうと言う無言の圧力だ。
「レーミュ、早いわね。私はもう少しゆっくり食べるわよ。」
「うぅ。」
レーミュは少し寂しそうな表情でレイナを見つめる。
「レーミュ、少し遊んだら、お風呂入りなさいね。」
「はーい。」
元気よく答えるレーミュに、レイナがほほ笑みかける。
「じゃあ、後で一緒に入ろうか。」
「うん!」
一気に楽しみが増えたレーミュは、今までで一番元気のよい返事をレイナに返した。
「さて、レーミュ、先にお話して置かなければいけないことがあります。」
ロムがレーミュに真剣な表情を向ける。それを見て、レーミュは静かにロムを見る。
「明日、私とレイナは朝早く出発する予定です。そして、夜遅く、もしかしたら翌朝まで帰ってこないと思います。」
「・・・うん。」
「私たちが居ない間は、信徒の方が来られて、この教会の留守番をしてくれることになっています。レーミュも、いい子で留守番出来ますね?」
「・・・うん。」
さみしそうな顔で頷くレーミュ。
「ありがとう、レーミュ。」
レイナがそう言って、レーミュの頭を撫で、ぎゅっと抱きしめた。
「明日一日、お姉ちゃんを借りるね。」
「うん。」
「よし、じゃあ。これからお休みまで遊ぼっか。」
「うん!」
レーミュは再び元気を取り戻す。その声を聴いて、二人は安堵した。
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