第2話


 私たち家族は『大掃除』を終えると自宅に帰った。


「……え?」


 そして夜――。


 私はそろそろ寝ようと自分の部屋に入った……ところですぐに『それ』に気が付いた。


 それくらい分かりやすく『それ』は置いてあったのだ。


「なっ、なんで」


 あの『写真』は、結局のところ、祖母の家で燃やした。他のゴミと同じようにゴミ袋に入れて捨てるのは、どうしても気が引けてしまった。


「………」


 ――そう、あの時確かに燃やした。それは私も母も祖母もきちんとこの目で見たはず……なのに。


「どっ、どうしてここに?」


 なぜかあの時、燃やして、それを自分の目でも見たはずの『写真』が、私の部屋の机の上にご丁寧に置かれていた。


「…………」


 この部屋に窓はあるが、ここ数日で積もった雪のせいもあり、窓付近が氷結していて父の力でも開けられなくなってしまっている。


 そもそもここは『二階』だ。そう簡単に人が入って来られるとは思えない。


 それに、他の人……それこそ全く知らない人がここに入った……という形跡も当然、ない。


「…………」


 じゃあ、家族……という事もあるかも知れないけど……。


 ただ、考えてもこの『写真』は今日燃やしたモノと同じ場所に黄ばみがある……という事の説明にはならない。


 しかし、それで『同じモノ』と決めつけていいのだろうか……。


 もしかして、もう一枚同じものがあったのかも?


 なんて、考え出したらキリがないほど『可能性』が浮かび上がってくる。でも、それよりもここは早く大人……いや、事情を知っている母に言いに言った方がいいだろう……。


「なっ、何?」


 そう思い行動しようとしたが、私はすぐにその『異変』に気が付いた。持っていた写真が突然。コマ送りの映像の様にパッパッと動き始めたのだ。


「…………」


 当然、私は何もしていない。ただ写真を持っているだけだ。それなのに、写真が勝手に映像を映し出している。


 桜並木がキレイな中、母は「見えないと」と言っていた笑顔がかわいく、キレイな女の子がこちらを見て笑っている姿……と、ここまではよかった。


 しかし、その後すぐ――。


「っ!?」


 いきなり現れた短髪の女の子が、その写真に写る女の子を思いっきり突き飛ばし、その後に映し出されたのは……。


「…………」


 その突き飛ばした女の子のニヤッとした口元と……なぜか達成感に浸っている表情だった。

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