第3話
「はぁ……」
ため息が思わず出てしまったが、お兄さんはただ仕事を全うしているだけだ。いるにも関わらず居留守を使うのも、申し訳ない。
ここ最近。宅配便のお兄さん……だけでなく、お姉さんも大変だ……と言うことをニュースでやっていた。
「こんにちはー」
そんな世の中で、お兄さんのお仕事を邪魔をするのは申し訳ない。
「……はい」
あまりにも出るのが遅いとお兄さんたちは『不在票』を書き始める。だから、そうなる前に出た方がいい。
「あっ、すみません。こちらの方にお荷物が……」
「はい。ありがとうございます」
確かに、宛名の部分には母さんの名前が書かれている。
どうやら、母さんはコレが届く……か、届いたのか……の確認をするために連絡して来たのだろう。
「ありがとうございましたー」
しかし、母さんがこういった『通販』を利用するのは珍しい。
「あっ」
そういえば、この間父さんと一緒に何やらパソコンを前に悪戦苦闘していた。その時は「何をやっているんだ?」と、不思議に思っていたが……。
「これを頼んでいたのか」
正直、これが何か気にはなる……のだが人のモノを勝手に開けるわけにはいけない。それこそ相手が、一緒に生活している両親だとしても……だ。
「はぁ……」
しかし、荷物をリビングに置いて見た時計の針は二時を指している。ちょっと布団をかぶって、荷物を受け取っただけなのに……。
本当に時間が過ぎるのは早い。せっかくの『昼寝日和』なのに……そう思うと重いため息もつきたくなる。
「ん?」
自室に戻るとまた俺の携帯電話が鳴った。
「…………」
無視してやろうかと思ったが、画面を見ると相手は部活の部長の様だ。
ただ、部長……といっても相手は同級生である。だから……という訳ではないが、後で気が付いた風に装ってもよそさそうにも思える。
「……いや、止めよう」
しかし、その部長はとにかく『真面目』だ。ここで下手に気が付いたのが遅れた……なんて装って後で「どうして」などと聞かれるのは目に見えている。
そうなると、後々かなり面倒だ。
「はぁ……」
仕方なく俺はため息をつきながら画面を開き、彼からの連絡内容を確認したのだったのだが……。
「本当に……早く寝たい」
なんて言葉が確認しながら知らない内に思わず口からこぼれるくらい、今の俺は本当に疲れ始めていた。
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