秘めていたのは、情熱のかげろう。

殻を破れないでいる剝き出しの魂が、出会った。

本作は葛藤を抱えたまま役を演じきれずにいる女優・舞花と、
同じアパルトマンに住む絵描き・「かける」や、その関係者たち。

小さな町を舞台に、やがて大きな舞台に立つはずの舞花は、
自分に欠けていたものは何か、その本質に気づいていきます。

できるできない。

互いを断じるような境界線が淡くかすんで、やがて窓の外を吹く風のように、
情熱の未来へと広がっていきます。

あれはないものだった、もう失ったものだったと思えば、時は止まってしまう。
はたしてそうなのかと、問いかけられているような作品でした。

本作からは夏のイメージを受け、レビューに「かげろう」という言葉を当てました。

無限の広がりを感じさせる、この物語。
皆様は、何を思い浮かべますか?

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