『ウルトラ雑貨店』
やましん(テンパー)
『ウルトラ雑貨店(宇宙コンビニ)』
地球にあるものなら、なんでも売っているのが、『ウルトラ雑貨店』であります。
あめちゃんから、おもちゃ、お弁当、おくすり、医療機器、核融合爆弾、地球人類変装用品、スパイ用品、ロボット、レンタル自動車、宇宙ロケット、etc………
まだまだ、あります。
ただし、地球人類には売りません。
あくまでも、宇宙生物専用なのです。
場所は、太陽のすぐ側と、月の裏側にありますが、地球政府はもちろん知っていますし、月の土地は、地球政府の所有地です。
しかし、それは非公開であり、つまり、地球人類一般には秘密なわけです。
なぜならば、地球人類は、危ないからです。
しかし、力の差は歴然としていますが、いささの歯止めは、地球側も欲しいので、交渉の末、月の裏側にもお店を設置していました。
太陽の側は、地球の技術では、いまだ、行けないのですが。
とはいえ、宇宙生物にも、危ないのはいるのです。
核爆弾は、小惑星の開拓とかにも使うのですが、地球に危害を加えようなんていう存在に渡るのは、避けなければなりません。宇宙生物の信頼に関わりますからね。
かつて、やましんちの『くまさん』たちが、訪問したことがありました。それは、おはなしにもなりました。
さて、新任の地球大統領ハナ・フーダ氏は、こうした施設の存在が許せないと思っておりました。
彼女にしてみれば、『地球の恥辱』である。わけです。
しかし、宇宙生物たちとは、決定的に科学技術の段階が異なります。
かれらには、宇宙の4つの力を、ほぼすべて使いこなせる力があります。
ブラックホールでさえ、掌握していたのですから、歯が立つわけがありません。
しかも、4つの力以外の、5つ目の力さえ、手に入れていたのです。
つまりそれは、この宇宙以外の宇宙の力でした。
なんで、もう、どうにもこうにもならないわけなのですが、ハナ大統領は、そんなことで、滅入るような人ではありませんでした。
それらのすべての力を、頂いてしまおう、と思っていたわけです。
『ならば、地球が宇宙で1番になる。地球ファースト。』
わけですから。
その第一歩が、ウルトラ雑貨店の取得でした。
なにしろ、土地は地球のものですから、はなしは早いと踏んでいました。
しかし、宇宙生物側も、ハナ大統領の魂胆は分かっていましたし、意外に侮れない相手であることも知っておりました。
まんまるな宇宙生物地球大使は、わざわざ宇宙雑貨店の前に出て、にこにこと、ハナ大統領を迎えました。
『いらっしゃいませ。大統領閣下。』
『あら、大使さま。お世話さま。良いお店ですね。』
『はい。地球の名高いデザイナーさまに設計を依頼いたしましたから。』
『まあ。それはそれは。でも、ちょっと殺風景ですね。』
『まあ、地球側の意向もありましてな。』
『あら、前大頭領ですか? あのひとは、ダメな人ですから。もっと、発展させましょう。でかいハナビルも建てましょう。人も呼び込みましょう。』
『え? 良いのですか?』
『もちろん。拡大こそが、互の発展です。』
『しかし、地球側は、慎重なはず。』
『わたしは違います。ぜひ、ここを買収させてください。』
『ほう。いかほどで?』
『二兆万地球ドリムでいかが?』
『ほうほう。悪くないですな。しかし、もう一声。地球を一個つけてください。』
『は?』
『われわれは、地球きぼの文明惑星を、1000万個持っております。なに、あなたは、地球大統領のままです。なにも変わりません。それに、あなたが嫌いな人は、すぐに消して差し上げますよ。あなたのお給金は、1000倍にいたしましょう。ここの商品もすべて差し上げます。また、無料でなんでもお取り寄せいたします。展示してない商品もたくさんあります。地球を溶かしてしまうような美容液もあります。珍しいアンドロメダカラスの巣の酢の物もありますよ。どこにでも行ける宇宙船も、差し上げます。有能で素直な部下を10000人献上しましょう。不死可装置を差し上げます。なんでも製造装置も。なんでも作れます。一発で地球を破壊するしかも後遺症のない爆弾。座ったままで、やなやつをすぐ殺害できるワープ銃。あらゆる物質をすぐに精製する物質構成装置。150階建てのでかいビルも5分で建てるビル構成装置。なんでもです。効き目抜群の呪いマシン。大西洋を三歩で跨ぐ歩行ロボット。月まで石を投げられる投石機械。ひひひひひ、まだまだありますよ……』
🙌🙌🙌🙌🙌🙌🙌🙌🙌🙌
帰りがけに、エエフ副官が言った。
『なんで、断ったんですか?』
大統領は答えた。
『だって、ちっとも、愉しくないもの。』
🙇
『ウルトラ雑貨店』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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