第9話

高校を卒業し、それぞれの道に進んだ。

以前より、一緒にいる時間は少なくなったけど、私の隣には遼くんがいた



お誕生日1週間前



「愛美、来週、誕生日だよね?

何処か行きたいとこある?」


「うーん......

あっ、あの遊園地に行きたい!

去年4人で行った...」


「そんなんでいいのー?」


「いいの、だって、あの場所から始まったんだよ、私達」


「そうだな。

っでさ、それから、その日は...」


「クスクス...」


「どうして笑うんだよ」


「だって、私ね、遼くんの言いたいことわかるんだぁー」


後ろから顔を覗き込むと腕にかけた手を引っ張られて抱きしめられた


「愛美...ずっとここにいればいいのに」


「ここって?

ここ?」


胸を手を当てると「そうだよ」って声が掌に響いた


彼の柔らかい笑顔が心いっぱいに幸せにしてくれる


わかってる

その日はずっと一緒にいたい

私だって、そうだよ


そう言葉にはしなかったけど、

代わりに遼くんの広い背中に手を回した



次の日の朝

パパから5通目のママのお手紙をもらった




愛美19歳のお誕生日おめでとう。

19歳の願い事はしっかり泣くこと

涙は悲しい時だけじゃない

嬉しい時、悔しい時、愛しい気持ちが溢れた時、たくさんの意味を持つ

我慢しないで、涙を流すことは大切なこと。泣くことは恥ずかしいことじゃないのよ



そう言えば、ママが亡くなった時以来、泣いてなかったかもしれない


泣きたくなった時もあったけど、

いっつも喉の奥にぐっと力を入れて飲み込んでたんだ

13歳の秋からずっと...。

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