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一月に僕がベータテストに参加して、そこから本戦に突入しだした頃にはもう三月だった。普通ならもうすぐ春休みといったところだけれど、進学校に春休みなんてものは有って無いようなもので、課外という授業に駆り出されることは目に見えてわかっていた。だから学年全体としての、長期休暇への期待度も低い。僕も休みであって休みでないという矛盾には耐え切れなかった思い出がある。だけど、それでも僕は少し感じ方が違った。【侵略者】との戦いが頭にあったからだ。僕が学校に通っている時間帯でも、敵は絶えず攻めてきてるし、誰かがそれを食い止めている。良心の呵責ではないけれど、やはりどこか後ろめたさを感じてはいた。非日常に両手両足を突っ込みつつ、胴体と頭は未だ日常にある。中途半端だと思ったし、欲張りだとも思った。非日常を求めていた過去の自分には、普通に授業を受けているこの状態に安堵していることなんて、想像できなかったのだろう。
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