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‪幸いがあるという虹のねもとにゆけば、きみがいるかとおもったけれど、どれだけあるいてもたどり着くことなどできはしなかった。‬

‪丘をこえてかなたへゆけば、きみに会えるかとおもったけれど、けっきょく一周まわってここへ戻ってきてしまった。‬

‪うつむけば地面はぼくのあしもとがいちばん暗くて、見あげれば空はぼくの頭上がいちばん青くて、気づけばきみはどこにもいなくて、いつだってぼくはここからうごけなかった。‬

‪ぼくにはここしかなかったけれど、それでもここがあったのだと、幸福は、ここ以外のどこかにあるのではなく、ここにいられるということこそが幸福だったのだと、気づいてもいなかったあのときが、幸福そのものだったのだと、あれもこれもそれもぜんぶ、ぼくはつねに遅すぎて、こんどもやはり、気づくのは、すべてなくしてしまったあとだった。‬






‪「ねぇ、幸福はいつかこわれることをしってしまったら、ずいぶんとおくびょうになってしまったよ。」‬

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